The Study of Bag End

グロールフィンデルは中つ国へいつ戻ってきたのか

第二紀の終わり頃「エルフと人間の最後の同盟」と呼ばれた盟約が結ばれました。ギル=ガラドとエレンディルはサウロンと相討ちになりましたが、イシルドゥアは力の指輪を自分のものとしました。エルロンドはこの時にギル=ガラドの伝令役を勤めたと、エルロンドの御前会議の際に語っています。

「ザ・ロード・オブ・ザ・リングス・オンライン」(以下、LOTRO)で2017年に新しく追加された上のエルフを選んでイントロダクションをプレイしました。カラクウェンディと呼んだほうが認識しやすい人もいるかもしれません。LOTROは基本的にはフロドの出立と時期を同じくしているので第三紀3018年〜3019年ということになりますが、上のエルフ用のイントロは第二紀3434年頃のモルドールの黒門前からはじまります。

イントロがはじまるとそこに居合わせるのはエルフと人間の名高い人物たち。その中にグロールフィンデルもいました。個人的に「あれっ?ここにグロールフィンデルはいていいんだっけ?」とふと疑問に思いました。

第二紀に中つ国いるなら、この重大な戦いに赴かなかったことのほうが意外です。LOTRO制作チームの考察ではグロールフィンデルはこの時すでに中つ国へ帰還していたということになります。トールキンがグロールフィンデルの帰還をどのように書いていたのかを調べてみます。
※没後出版された草稿集を参照するので、トールキンの最終的な意図でなかった可能性も考慮してお読みください。

『シルマリルの物語』の「トゥオルとゴンドリンの陥落のこと」の中で見られるように、グロールフィンデルはバルログと相討ちになりました。その物語は作者によって『指輪物語』より前から書かれており、ゴンドリンのグロールフィンデルと裂け谷のグロールフィンデルは同一人物なのかどうかという議論から逃れたまま『指輪物語』は出版されました。1ですが、晩年に書かれた二種類の草稿はいずれも同一人物であるという方向で書かれてあります(いくつか回避できない問題はあるものの)。

ナズグルはグロールフィンデルやアラゴルン、ホビットたちが用意した火とブルイネンの大水に挟まれはしましたが、たしかにそうでなければ、ブルイネンの浅瀬での混乱ぶりの説明がつきません。どういった経緯でグロールフィンデルが再生し、中つ国へ帰還したかは「エルフの死と転生のこと ーグロールフィンデルの例」に書きました。

今回明らかにしたいことはグロールフィンデルが中つ国へ帰還した時期です。

前述の二種類の草稿はそれぞれ少し異なることが書かれています。これは間を開けずに書かれたものだろうと編者の指摘があるので、後の原稿に関して、先に書いたプランを却下したものと受け取ることもできます。あくまで推量ですが…。

最初の小論では、グロールフィンデルは第三紀1000年頃にガンダルフと一緒に中つ国に来たったことになっています。これはこれで『指輪物語』の原作には間に合います。グロールフィンデルは第三紀1973年にフォルノストにいて、アングマールの魔王を牽制する役割をしています。この時、魔王について「かれは人間の男の手では討たれぬだろう」と予言したのはグロールフィンデルでした。ですが、こちらのプランでは冒頭のLOTROのイントロは成立しません。

第二の小論はより詳細に書かれています。こちらではグロールフィンデルは第二紀1200年〜第二紀1600年には中つ国へ帰還したプランが提示されています。この時期、エダイン(人間)はヌーメノールに居住していますが、中つ国に残ったノルドール(エルフ)はエレギオンで金銀細工の制作に打ち込みます。この時期のサウロンの支配から中つ国は窮地に陥り、その知らせはヌーメノールとヴァリノールにもたらされました。こうしたことはグロールフィンデルが帰還する理由の一つになり得るのではないかと思います。こうしたプランであれば、グロールフィンデルは最後の同盟で一役を担っていた可能性があります。

結論としては、どちらの原稿が決定稿なのかはいえないようですが、第二のプランのほうがより具体的で中つ国の必要にも合致していると思いました。参考にしたのは『中つ国の歴史』シリーズの第12巻『The Peoples of Middle-earth』にある「Last Writings」です。


この記事は2018年4月8日のTolkien Writing Dayに参加しました。

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