ローハン王の名前の傾向
トールキンは『指輪物語』を翻訳する際に、ローハン語に古英語をあてました。そのため、古英語の語源を調べるとたいていのローハン関係の名前や地名の意味がわかります。それで、ローハン王の名前の語源を調べていくと、名付けに傾向があったと思わせられる発見がありました。
※Tolkien Gatewayにて各キャラクターのEtymologyを参照しています。
その発見とは、歴代ローハン王は、「王」とか「指導者」、「領主」となどといった意味合いを持っている割合が多いということです。これにはエオルからエオメルの息子エルフウィネまでの19代で10人、ほぼ半数が該当します。
興味深いことに、こうした第一人者を表す言葉が古英語には豊富だったということと、含有する意味が微妙に違うということです。例えば、青年王エオルは「one of the nobility」1、第12代ワルダは「ruler」2のように。想像でしかありませんが、古英語が使われていた時代に、使っていた人々の間でこの微妙な差異が表す身分の差などがあったかもしれません。
「王」などという意味の名前を持ったローハン王がわかるように、家系図を用意しました。
第一家系

第一家系では5人が「王」などの意味を持つ名前です。第二代ブレゴの名前は映画『ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔』 スペシャル・エクステンデッド・エディションの中で(おそらく)セオドレドの馬の名前として使われています。アラゴルンは「ブレゴ? 王に相応しい名前だ(Brego? Your name is kingly.)」と言いますが、その通りなんですね。
第二家系

第二家系も同じく5人。第二家系は、ヘルムの妹の息子フレアラフからはじまります。セオドレドは王位にはついていないので、厳密に言えばこの家系図にはいれられませんが、そこは人情で。
第三家系

第三家系には、ここまでのところ「王」などの意味を持った人物は出てきていません。セオデンの妹の息子エオムンドのそのまた息子のエオメルからはじまります。