The Study of Bag End

ビルボ、フロドと親族のホビットたちの血筋

13人のドワーフと魔法使いが袋小路屋敷へ押し入った日の夜、ドワーフのグローインはビルボの陰口をたたきます。「忍びの者というよりは、八百屋のようですな。」というフレーズは映画『ホビット』でもトーリン・オーケンシールドのせりふになっていましたね。*1

偶然聞いてしまったビルボは、こう描写されます。

これをきいて、バギンズ君は、ドアの取手をぐっとおして、食堂にはいりました。トックの血すじが勝ちをしめたのです。ビルボはにわかに、食べること寝ることよりも、勇士だと思われる方がいいという気になりました。[中略]そののちいくどもバギンズ家の血が、この時自分のしでかしたことを後悔して、よくひとり言をいうことになるのです。*1

ドワーフとのエレボール遠征のあいだ中、家に帰りたいとなげくのも、勇敢にドワーフたちを救うのも、どちらも同じビルボですが、その葛藤はバギンズ家とトゥック家の血筋を通して描写されます。気質ともいいますでしょうか。

ビルボのお父さんはバンゴ・バギンズで、お母さんはベラドンナ・トゥック。無味乾燥ですが、図にすればこうなるでしょう。半分ずつです。

ビルボはバギンズ家 50%/トゥック家 50%

けど、『指輪物語 追補編』の「ホビット家系表」で丹念にこしらえられたホビット族の系図を見たら、ビルボの両親だけでなく、祖先はどうなっているのか知りたくなりませんか?

ビルボの親の親、つまり祖父母には、バギンズ家、トゥック家の他、掘家( Grubb )、丸面家( Chubb )の出身のホビットがいます。ですから、これも図にすればこうなります。今度は 25% ずつ。


こうして見ると、ビルボの意外な一面が見えたような気がしませんか?

ここまでやったんですから、もう一世代さかのぼって、曽祖父母ならどうかを見てみませんか? ビルボだけでなく、フロドや親族で友人のピピン、メリー、一緒に旅には出なかった親戚がどうなっているのかも一緒に。根拠がわかりやすいように、系図もつけますね。

ホビットたちの血筋

ご存じの通り、追補C「ホビット家系表」からはもう少しさかのぼれますが、不明な要素の多い図になってしまうので曽祖父母までにとどめました。

気になる方は「ホビット家系表」をご覧になってみてください。英語の本にはボフィン家とボルジャー家の系図も載っているので、お持ちでしたらそちらも一緒にどうぞ。

この図解をつくって改めて、トールキン教授がどれほど緻密にホビットの親族関係を練っていたのかがわかると思います。その一方で上でも示した通り不明なところもあるんですよね。


フロドは『指輪物語』の主人公として練られたのか、他のホビットほど不明が少ないです。そしてボルジャー家とのつながりが多いという意外な点が浮かび上がります。

そういえば『指輪物語』の初期の段階でフロドは、ビンゴ・ボルジャー=バギンズ(イニシャルはBが三つ!)なんていう名前でしたが、その名前でなくなってもボルジャー家の血筋なのはかわらないみたいです。

そのボルジャー家出身のフレデガーは、冒険には出なかったもののトゥック家の血筋が多く混ざっています。彼はフロドとともに旅立つことこそ拒否したものの、度々勇気のある行動を見せてくれます。

袋小路屋敷で引っ越しを手伝って帰宅し、くり窪(堀窪)には同行しなかったフォルコ・ボフィンに至っては不明の親族関係が 75% にも及びます。

それでもこの全員がトゥック家とのつながりを持っています。ピピンだけは男系ですが、後の五人はトゥック家の三姉妹と言われたベラドンナ、ミラベラ、ドナミラを通じてトゥックの血筋を受け継いでいるんですよね。これは『指輪物語』にも言及のあることですが。*2

何か発見がありましたか? よかったら教えてくださいね。

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参考文献

  1. J・R・R・トールキン著『ホビットの冒険』(岩波少年文庫版)、瀬田貞二訳、45ページ、岩波書店刊.
  2. J・R・R・トールキン著『指輪物語 旅の仲間』(電子版)、二「過去の影」、瀬田貞二・田中明子訳、評論社刊 [「かれらは(たいていトゥックじいさまの子孫で)」とある].