The Study of Bag End

史上初!トールキンの絵やスケッチが収録された『The Lord of the Rings』が2021年10月発売

指輪物語』の原書にあたる『The Lord of the Rings』が1954年から1955年にかけて出版されて以来はじめて、著者J・R・R・トールキン本人の絵やスケッチが収録された『The Lord of the Rings』の発売されます。2021年10月14日発売予定。これは、トールキン・リーディング・デイ(3月25日)に際して発表されました。

イギリスではハーパーコリンズ社、アメリカではホートン・ミフリン・ハーコート社より同時発売予定(※)。その後、世界各国で翻訳される予定ということです。今回のエディションは特筆すべきものなので、日本語版の刊行も検討していただけたらとてもうれしいのですが……。どう特筆すべき書籍になるのかは、装幀を見たあとで確認していきましょう。
※このプレスリリースから4日後、HMH社の Books & Media 部門はアメリカのハーパーコリンズに売却されることが決まりました。発売時に出版社がどちらになるのかは定かではないです。

なお、『The Lord of the Rings illustrated by J.R.R. Tolkien』は、ハードカバー版とスリップケース入りで革張りのデラックス版の2種類。イギリスのハーパーコリンズ社の用意した商品イメージはかなりチッチですね。モックアップ段階なのでわかりにくいですが、おそらくハードカバー版もサウロンの目が描かれた黒字の金の縁取りの部分で型抜きになるようですね(出版社による紹介の拙訳もご一読ください)。

ハードカバー版(イギリス)

The Lord of the Rings: Illustrated edition

著・絵 J.R.R. Tolkien

発売日
出版社
HarperCollins Publishers
ISBN
0008471282 / 9780008471286
フォーマット
ハードカバー
ページ数
1248
言語
英語
定価
公式情報
HarperCollins to release Lord of the Rings with Tolkien artwork | The Bookseller

ハードカバー版(アメリカ)

The Lord of the Rings Illustrated Edition

著・絵 J.R.R. Tolkien

発売日
出版社
Houghton Mifflin Harcourt
ISBN
0358653037 / 9780358653035
フォーマット
ハードカバー
ページ数
1248
言語
英語
定価
$75.00
公式情報
The Lord of the Rings Illustrated Edition | HMH Books

デラックス版

The Lord of the Rings

著・絵 J.R.R. Tolkien

発売日
出版社
HarperCollins Publishers
ISBN
0008471290 / 9780008471293
フォーマット
Deluxe single-volume illustrated edition
ページ数
1248
言語
英語
定価
公式情報
HarperCollins to release Lord of the Rings with Tolkien artwork | The Bookseller

amazon.co.uk

電子書籍版

The Lord of the Rings: Illustrated edition

著・絵 J.R.R. Tolkien

発売日
出版社
HarperCollins Publishers
ISBN
フォーマット
電子書籍
ページ数
1248
言語
英語
定価
公式情報

出版社による紹介(拙訳付き)

この欄は、ふだんは商品に紐づく紹介文を翻訳して記載しているのですが、今回はハーパーコリンズ社が運営するトールキン公式Facebookページ(link)に掲載された、同書の刊行に至った経緯がわかる紹介を翻訳します。

拙訳
この度、『The Lord of the Rings』のとても特別なエディションの発売予定をお知らせすることを光栄に思います。今度の書籍では、およそ70年の歴史の中ではじめて、J・R・R・トールキンが袋小路からモルドールへ、そして戻る道のりを執筆した際に描かれ、制作されたフルカラーの絵や素描、スケッチが収録されます。

トールキン教授は、『ホビットの冒険』、『シルマリルの物語』、そして絶賛され世界的なベストセラーとなった『指輪物語(The Lord of the Rings)』の著者として、文学的、学術的業績により世界的に知られています。

しかし著者本人はいかにも謙虚で、正式なトレーニングを受けたことがないにも関わらず、明らかに稀有な芸術的才能を持っていることを否定していました。この謙遜さゆえに、生前に彼の作品はほとんど知られず、目にされることもなく、その後も学術書にのみ掲載されることがほとんどでした。

オックスフォード、ニューヨーク、パリで行われた3つの記録破りのトールキン展の最初の展示が2018年に開催され、主として言葉でしか知られていない人物の並外れた芸術的業績を何十万人もの人々が観賞したことで、この状況は一変しました。展示品の中には、『指輪物語』の執筆中、トールキンが制作した絵や素描、スケッチが含まれていました。元は、彼が純粋に個人的な楽しみと参考のために制作されたものですが、芸術家としてのトールキンに対する圧倒的な支持を受けて、この芸術と質を向上させる言葉を再び結び合わせることができました。そうすることで、この傑作の楽しみを新たにすることができ、私たちはうれしく思います。

すべてフルカラーで印刷された『The Lord of the Rings illustrated by J.R.R. Tolkien』は、2種類の素晴らしいエディションが10月に出版されます。標準のハードカバー版には縁に美しい吹付けが施された特別な型抜きのブックカバーと、取り外しできる折りたたみ地図二種が付属します。
スリップケース付きのデラックス版は赤い革に縁に美しい吹付けが施されたクォーターバウンドで、今回はじめて収録される、特別なおまけが付属します。

補足

商品情報からいくつか補足をします。

両エディションとも共通して、カラーイラスト、地図、スケッチなどが30点収録されるということです。この中でも特筆すべきはモリアのバーリンの墓近くにあった「マザルブルの書」の複製。これらは出版社が触れたトールキン展で展示されていたのを実際に鑑賞しましたが、素晴らしい力作ですよ。破れや焼け焦げた後、オーリが絶命の間際に書いた文字、製本のための紙の穴などが細かに再現された様子がわかります。

トールキンは『ホビットの冒険』では挿絵も描きましたが、『指輪物語』ではご自身で描くつもりはもともとありませんでした。それを「個人的な楽しみと参考のために」と出版社も説明しているのですが、『指輪物語』は10年以上かけて執筆されていますから、その長い期間に著者の考えが変わることは全く不思議ではありません。

この「マザルブルの書」を再現した複製を書籍に含めたいとトールキンは考え、出版社には熱意を持って交渉したようです。しかしながら当時は第二次世界大戦が終わって10年経とうかという頃で、紙に不足もあれば、精細な印刷をしたければ高くつくことになり、諦めざるを得ませんでした。ですから、70年近くかかったものの、トールキン教授の願いがとうとう叶うという画期的なエディションです。

なおデラックス版は、初版5000部限定ということです。

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参考