The Study of Bag End

日本語訳『ベレンとルーシエン』2020年10月7日発売

評論社からJ・R・R・トールキン著『ベレンとルーシエン』(原題: Beren and Lúthien)が、に発売する予定です。

原書『Beren and Lúthien』が刊行されたのは2017年のこと。この書籍を編纂したトールキン教授のご子息クリストファ・トールキンは、「(おそらく)私の最後の本になるだろう」と、同書の序文で綴りました。実際にはその翌年、2018年に『The Fall of Gondolin』も刊行されました。2020年1月に旅立たれましたから、クリストファさん編纂の最後から二番目の書籍ですね。今年最初のさみしい知らせでしたが、クリストファさんの晩年の作品を母国語で読むことができる日がくるのは喜ばしいことです。

ベレンとルーシエン

作 J・R・R・トールキン
編集 クリストファ・トールキン
訳 沼田香穂里
絵 アラン・リー

発売日
出版社
評論社
ISBN
4566023877 / 9784566023871
ページ数
352頁
定価
2,400円+税 3,000円+税
公式情報
ベレンとルーシエン – 評論社
書影

出版社による紹介文

『シルマリルの物語』に収録された神話群のうちのひとつ。この世で最も美しいと言われるエルフの乙女ルーシエンと、人間の勇者ベレンの恋の物語。アラン・リーが、表紙絵ほか本文にもイラストを添え、カラーイラストも多数挿入。『指輪物語』ファン待望の一冊がついに邦訳!

はい、本当にファン待望の一冊でした!

ベレンルーシエンの名前は、もしかすると物語よりも有名かもしれませんね。オックスフォードに眠るトールキン教授と妻エディスさんのお墓に、ベレンとルーシエンの名前が刻まれている写真を見たことをある人は多いのではないでしょうか?

シルマリルの物語』だけでなく、『指輪物語』の中でも、アラゴルンがホビットたちを裂け谷へ導く道中のある夜、ベレンとルーシエン(『指輪物語』の翻訳では“ルシアン”)の物語を聞かせていますから、印象に残っている人は多いでしょう。

書籍の内容をさらに知りたい方のために、原書の出版社による紹介文もご紹介します。拙訳で読みにくいところはご了承ください。

原書の出版社による紹介文

拙訳
トールキンの手稿を徹底して復元し、初めてつながった一つの物語として発表された『ベレンとルーシエン』の英雄物語は、『ホビットの冒険』や『指輪物語』のファンを、エルフや人間、ドワーフやオーク、さらにトールキンの中つ国ならではの豊かな景色と生き物たちとの再会をもたらすでしょう。

ベレンとルーシエンの物語は、J・R・R・トールキンが生み出した世界の第一紀の神話や伝説である『シルマリルの物語』の発展に欠かせない要素となりました。1916年の末にフランスとソンム攻勢から帰還した彼は、その翌年にこの物語を執筆しました。

この物語に欠かせないことは、ベレンとルーシエンの愛に影を落とした宿命であり、決して変更されませんでした。ベレンは死にゆく定めの人間で、ルーシエンは不死のエルフだったためです。偉大なエルフの領主である彼女の父はベレンに強く反発し、ルーシエンと結婚するには実現不可能な役目を負わせます。これが伝説の核で、ベレンとルーシエンがともにすべての悪の存在の中で最も凶悪な存在、モルゴス、すなわち黒き敵と呼ばれるメルコールからシルマリルを奪おうとする、無二の英雄的な試みにつながるのです。

本書においてクリストファ・トールキンは、ベレンとルーシエンの物語を、組み込まれた広範囲の作品から抜き出す試みをしました。しかしその物語は、より広範な歴史の中で新たなつながりを発展させるに連れて、変化していきました。中つ国の伝説が何年もかけて発展してきた過程を示すために、彼は父の言葉で物語を語り、はじめに原形を提示して、次いで後年のテキストから変化した物語に焦点を当てるため、散文と韻文を提示します。はじめて合わせて提示されたこれらのテキストは、出来事と物語の即時性を、後に失われた物語の側面を明らかにします。

さらに、この原書が素晴らしいのは、アラン・リー画伯によるスケッチとカラーイラストとともに物語が楽しめるところです。評論社による紹介文を読むと、原書と同じように挿画が収録されるのではないかと期待が高まります。

「読書の秋」のための本は、『ベレンとルーシエン』で決まりですね!