伝記映画『トールキン』、公開日発表を伝える日本メディアの記事
J・R・R・トールキンの伝記映画『トールキン』(原題)がアメリカで2019年5月10日に公開されるニュースを受けて、日本のメディアでも取り上げられました。トールキンが話題になるのは、ファンとしてとってもうれしいことです。
拝読したところ、記載にやや気になるところがあったので、僭越ながら補足と訂正を添えます。
- リリー・コリンズが『ロード・オブ・ザ・リング』原作者の伝記映画で年上妻役に! – FLONTROW
トールキンの妻エディス・ブラットを演じるリリー・コリンズにフォーカスをあてた記事。夫妻が結婚した年齢に誤りがあります。
しかしふたりは21歳で結婚し…(後略)
11889年1月生まれのエディスと、1892年1月生まれのトールキンがウォリックの教会で結婚式を挙げたのは、1916年3月のことです。エディスが27才、トールキンが24才の時のことですから、21才で結婚したという記述は事実誤認です。2
以下の部分はよくわかりません。
彼女は『ロード・オブ・ザ・リング』のプリンセスたちのモデルとなる…(後略)
3オックスフォードにあるトールキン夫妻の眠るお墓には、二人の名前と一緒に「ベレン」と「ルーシエン」の名前が刻まれていることは、あまりにも有名です。
エディスを亡くした後、トールキンは息子のクリストファ・トールキンに宛てた手紙の中で「彼女はわたしのルーシエンだった」と綴っています。そのルーシエンの生き写しと言われたのがアルウェンなので、この二人のモデルになったとは言えるかもしれませんが…。45
この部分の情報源はおそらくこちら。
Lily Collins plays Edith Bratt, Tolkien’s great love and eventual wife who inspired the elven princess characters in the Lord of the Rings saga.
- 拙訳
- トールキンが深く愛し、やがて妻となるエディス・ブラットを、リリー・コリンズが演じる。彼女は『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』のサーガでエルフの王女たちのキャラクターに影響を与えた。
「サーガ」が訳抜けしていますね。サーガと入ることで、『指輪物語』の他の作品も含めたことを言っていることがわかります。ただ、参照された記事が指す「エルフの王女たち」が誰を指すのかはよくわかりませんね😳
なお、トールキンの名前が「トーキンス」と誤表記されています😅
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指輪物語作者の伝記映画、今年5月に公開 – Sputnik 日本
公開日を伝える速報記事。 - 『ロード・オブ・ザ・リング』原作者の伝記映画、公開日決定 – シネマトゥデイ
こちらも主に公開日を伝える記事ですが、簡潔にスタッフとキャストの紹介もされています。 - ニコラス・ホルト主演、J・R・R・トールキン伝記映画は今夏全米公開 – 映画.com
記事の内容は同上です。以下の部分は、おそらく1つ目の記事と同じテキストを参照していると思われますが、11人の王女の物語とは…?エディスは、「指輪物語」に登場する11人の王女のキャラクター造形に影響を与えたと言われている。
7推測するに、「elven」を「eleven」と誤って訳出したのではないかと…思います。😅トールキン流につづるとエルフ「elf」の複数形は「elves」になります。「エルフの」は「elfin」ではなく「elven」になるんですよね。