The Study of Bag End

ナザニン・ボニアディさんの役柄が明らかに(家族についても)

ドラマ版『指輪物語』は、2020年初旬にニュージーランドで撮影が開始されました。情報筋によるとこの7月末、シーズン1の撮影が終了したようです。撮影はコロナ禍による中断を乗り越え、約20か月に及びました。現在、一部のキャストはすでにニュージーランドを離れ、軽微な追加の撮影や再撮影をイギリスのスタジオとも平行して行っているということです。

出演がわかっているキャストは総勢40人近くにのぼります。各キャストが誰の役を演じるのかは、撮影開始から1年以上経つ今もまだ不明です。けれども、いくつかの情報のピースがつなぎ合わされ、主演俳優の一人と言われるナザニン・ボニアディさんがどんな役柄を演じるのかが見えてきました。 Redanian Intelligence からの報告です。

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今回のニュースにより、ナザニン・ボニアディさんはドラマ版『指輪物語』で、シリーズ・レギュラーの登場人物、カリKari )を演じることがわかりました。トールキンの本を読んでいても聞き慣れない名前だと思います。けれども、過去に入手されたオーディション用の台本と各登場人物のプロフィールでは、すでにおなじみの名前でした。どんな人物なのか、またカリに関わる登場人物もこの記事で見ていきましょう。

2020年1月のキャスト発表前に、ドラマ版『指輪物語』のオーディションテープと見られる動画が非公式に投稿され、その中から台本の内容が明らかにされてきました。また登場人物の簡潔なプロフィールは、オーデイション希望者への募集要項を資料にしていると思います。

オーディションテープは、審査に通らなかった人たちの一部が投稿するようです(現在は削除済み)。この台本はオーディション用で本番とはおそらく異なるものでしょう。台本だけでなく、人名もその可能性があります。けれども、オーディションは制作陣が役にふさわしい俳優かどうかを見極める判断材料ですから、何かしら人物像や物語のヒントがあるかもしれません。

今回の役柄のプロフィールを見るに、トールキンの原作にはいない、『ホビット』三部作でのタウリエルのような、脚本陣が作り上げた新たな登場人物である可能性が高いと思います。それでも、どんな手がかりでもつかみたい、待ちきれない人にとっては、両方とも興味を引かれる内容だと思います。

ところで、ナザニンさんがカリ役だと、どうしてわかったんでしょう? ナザニンさんのエージェントのウェブサイトに一時掲載されていたようでなんです(現在は削除済み)。彼女の経歴書に Kari とクレジットが載っていたといういきさつ(その理由は不注意によるものではないかと想像します)。

さて、一番気になるのはカリが何者なのかということですよね。さっそくカリのプロフィールを見てみましょう。翻訳したものを載せます。

カリKari )、シリーズレギュラー、女性(30代)、Diverse
力強く独立した女性、10代の少年の自立したシングル・マザー。美しく、誇り高く、賢くて、魅力的な女性である。村の癒やし手でもある。穏やかだが、特に不当な評価を受けたと感じた時には、激することもある。

息子や仲間たち、密かに恋心を抱く、村の人々には受けいられそうにないよそ者の男の間で板挟みになり、悩まされている……。だが、彼女が世間で本当の幸せを見つけられる唯一の人物でもかもしれない。 女性、30代、シリーズレギュラー (最大で6つのオプション)*1

訳さず載せている「Diverse」とか、後で出てくる「Open Ethnicity」の他にも、「Caucasian」、「all ethnicities」と付記があり、一部の役柄は外見に募集の条件があった、あるいはなかったことがわかります。

カリのプロフィールは、別に入手された情報にも同じような記述が見られます。

カリは、自立したシングル・マザーであり、秘密を持つ村の癒やし手。*2

また、カリの息子役ではないかとうかがえる「10代の少年」は、カイリン( Kyrin )のように思われます。ちょっと引っかかると思いますが、プロフィールを読んでみてください。

カイリンKyrin )、シリーズレギュラー、男性(12〜15歳)、Open Ethnicity

妻を失った男の息子であるカイリンは、優しく、母親に対して責任を感じている誇らしい子供だ。世界への好奇心と小さな町での生活での不満を抱く。一家の主になるべく早く成長することを余儀なくされているが、実のところまだ10代だ。彼と彼の母は仲がいいチームで、母に対する他人の意図を疑うことができる。シリーズレギュラー (最大で6つのオプション)*1

原文「widower」をその通りに訳しました。辞書通りに訳せば widower は「男やもめ」です(女性は widow )。この文章を最後まで読めば、この文章の意味を通すには「妻を失った男の息子であるカイリン」を「夫を失った女の息子であるカイリン」にしたほうがいいと、おわかりいただけるのではないかと思います。

ローティーンの少年を演じられるのは、2021年7月の時点で発表されている俳優の中では、タイロー・ムハフィディンくんしかいないと思います。発表された時の写真より大人っぽくなりましたよね。

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カリのオーディション用の台本には、カリは他国の兵士として彼女の土地へやってきた、恋人のエヴェラド( Everad )との会話が二種類載っていました。

台本はその記事をご覧いただくとして。カリとエヴェラドの会話からは、カリの暮らす土地で過去に長きに渡る反乱があったことがわかります。 Redanian Intelligence はこれを、 Tolkien Gateway (トールキンファン向けのウィキ)の記述を参考にしつつ、ヌーメノール人がミンヒリアスやエネドワイスにやってきた記述と似ているように思う、と指摘しています。そして、カリは過去にヌーメノール人に反抗して立ち上がったけれども征服された中つ国の住人かもしれない、と。*3

台本の一つでは、エヴェラドは軍隊を抜け出してカリに会いに来た場面です。これは発覚すれば彼は罰せられる可能性があることもわかります。ここから予想できることは、いまだにヌーメノール人とカリの村の間は緊迫した関係にあること、エヴェラドはヌーメノール人である、ということ。

例えば、アマゾン・スタジオが一部権利を獲得したと言われる『終わらざりし物語』の「エルロスの家系 ヌーメノールの諸王」にはこうあります。

[タル=キアヤタンは]力ある王であったが、富を貪った。かれは王の直属の大艦隊をつくり、配下におびただしい貴金属や宝石を持ち帰らせ、中つ国の人々に圧制をしいた。[中略]ヌーメノールの至福に初めてさした影は、このような形で表に現れたのであろう(と考えられる)。*5

タル=キアヤタンの後を継いだ王について。

[タル=アタナミア大王は]父に似て傲慢で富を貪り、配下のヌーメノール人に中つ国の沿岸地方の住民から過重な貢物を取り立てさせた。*5

この第12代と第13代の王がヌーメノールを統治していたのは、第二紀1869年から2029年と、2029年から2221年までの期間。ヌーメノールの王族は長生きですから。エヴェラドの言う過去の長い反乱が起きた時期は、この頃のことかもしれませんね。参考までに、第二紀のドラマとして描かれる可能性のあるエレギオンは戦禍により荒廃した後のことです。

境遇から想像すると、カリの(おそらく)息子カイリンは、エヴェラドら外国から来た兵士に憧れを抱くかもしれません。エヴェラドはきっとカイリンから見れば一人前の人間ですし、自分の狭い社会に飽きているようですから。

ちなみに、ここまで読んでくると、エヴェラドの話もしたいところですが、彼のプロフィールにも見当たりませんでした。近い人物はいますが、どんどん推測になってしまうのでこのあたりで切り上げましょう。

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スパイレポート:アマゾンの『指輪物語』から20件の新情報が明らかに(TORn翻訳記事)

References

  1. Full Character Breakdowns For Amazon’s ‘Lord of the Rings’ TV Series | Knight Edge Media, posted on 9 January, 2020 (accessed on 30 July 2021) 引用部の翻訳は筆者による
  2. Amazon’s ‘Lord of the Rings’ Main Characters Revealed—Exclusive | Observer, posted on 11 November 2019 (accessed on 30 July 2021) 引用部の翻訳は筆者による
  3. New audition tapes for Amazon’s Lord of the Rings hint at Númenor – Redanian Intelligence, posted on 17 November 2019 (accessed on 30 July 2021) 引用部の翻訳は筆者による
  4. Amazon’s Lord of the Rings: Nazanin Boniadi’s role revealed and other cast updates – Redanian Intelligence, posted on 27 July 2021 (accessed on 30 July 2021)
  5. J・R・R・トールキン著、クリストファ・トールキン編、山下なるや訳『終わらざりし物語』上、第二部「第二紀「III エルロスの家系 ヌーメノールの諸王」、308ページ、河出書房新社、[]内は筆者註