ドラマ版『指輪物語』の動静 ―2020年9月
アマゾン・スタジオ製作のテレビドラマ版『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)のの動きを振り返ります。
目次
- ドラマ版『指輪物語』、撮影再開
- モーフィッド クラークのインタビュー
- “ロダ”の再オーディション
- 非公表の子役の撮影が春までに行われた可能性
- キャストとエキストラを追加募集か
- ヒューゴ・ウィーヴィング、中つ国への復帰は「まさか。絶対にない。」
- カヤ・スコデラリオはカナダにいる様子
ドラマ版『指輪物語』、撮影再開
(現地時間)、Deadlineはドラマ版『指輪物語』の撮影が再開されたことを報じました。COVID-19の世界的流行の影響により、今年3月に撮影を中断していました。
撮影中断の時点で、はじめの2エピソードの撮影がほぼ完了していたということ。もともとこの2エピソードの撮影を終えたら、ニュージーランドが冬のあいだは4〜5か月間の撮影休止を予定していましたから、3月の撮影中断から9月末までの全期間が予定外の休止とはならずに済んだようです。この中断により、当初の2021年リリース予定は遅れるかもしれないと見ていましたが、影響は少ないかもしれません。
7月にはニュージーランド政府から関係者の再入国の特別許可が下りていました。また、この期間を使って脚本チームはシーズン2の脚本を進めたそうです。
このニュースが出た数日後、キャスティングされている一人、ナザニン・ボニアディさんは「最近は現実とはかけ離れた架空の世界で芝居をしていて、とても幸せ。」とTwitterを更新しました。
I’m so happy to have been playing make-believe today in a fictional world far away from our current reality.
— Nazanin Boniadi (@NazaninBoniadi) September 30, 2020
参考
- Amazon’s ‘The Lord Of The Rings’ Resumes Production In New Zealand – Deadline
- ドラマ版「ロード・オブ・ザ・リング」の撮影、ニュージーランドで再開 : 映画ニュース – 映画.com
モーフィッド・クラークのインタビュー
ガラドリエルを演じると言われているモーフィッド・クラークさん。彼女が主演を務めるA24のホラー映画『Saint Maud(原題)』が、10月9日にイギリスで公開されることから、インタビューがいくつか出ています。
インタビューの主題はもちろん『Saint Maud』ではありますが、どの記事でもわずかながら『指輪物語』出演に関する話が出てきます。The GuardianやNMEの記事は、生い立ちから俳優になるまで、さらに現在まで広い話題に及んでいるので、いずれ彼女のことはもっと別のところで書いてみたいと思っています。ご参考までに、ガラドリエルを演じると言われていることについて、The Guardianは、秘密保持誓約のためモーフィッドさん本人に確認をとることはできていないと書いています。家族にすら詳細を話すことができず、ご姉妹はうんざりしている模様……俳優業のたいへんさとは多岐にわたるようです。
また、ロックダウン中、彼女はニュージーランドから帰国できなかったと6月のインタビューで打ち明けています。
他の俳優数人のインスタグラム投稿を見ていると、おそらく同様に帰国できなかった俳優が数人います。ミーガン・リチャーズさんは6月にニュージーランド屈指の観光地ミルフォード・サウンドやモーク湖(Moke Lake)、クイーンズタウンのリマーカブル山脈といった風景写真や、マルケラ・カヴェナーさんとスキー場でのツーショットを披露しています。主演の一人と言われているロバート・アラマヨさん、それからソフィア・ノンビートさんもそのようです。
撮影は2020年2月に開始され、翌月中旬には中断されましたから、同僚になったばかりの他の俳優たちと一緒に過ごすのは変な感じだけど、お互いが家族のように接していることは、撮影現場で生きてくるだろうと話しています。
撮影現場では、働く人の多さに常に驚かされている様子。11か月ほどシリーズの準備に費やしているということですから、2019年末から現地にいたという計算になりますね。ガラドリエル役を彼女が演じると報じられた2019年12月より少し前からニュージーランド入りしていたのかもしれません。
加えて、モーフィッドさんが11歳の時に公開された『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの熱狂的なファンであることも明かしています。ですから、少し前にイライジャがフロドとしての出演に興味を示したことに触れて喜び、「みんなにカメオ出演してもらいたい」と思っているそうです。
参考
- Morfydd Clark: ‘In the acting world, my ADHD tendencies are seen as charming’ | Film | The Guardian
- Morfydd Clark: “‘The Lord Of The Rings’ TV show is mind-blowing” – NME
- Morfydd Clark On Being Cast As Galadriel In Amazon’s Lord Of The Rings Series | Movies | Empire
- ‘The Lord Of The Rings’: Morfydd Clark Joins Cast Of Amazon Series – Deadline
- A24新作ホラー『セイント・モード』米予告編 ─ 『ミッドサマー』の次はコレ、敬虔なナースの信仰と罪 | THE RIVER
- ‘Lord of the Rings’ Series Finds Galadriel in Morfydd Clark – Variety
- oh, hey honey 🦖はInstagramを利用しています:「I think it’s safe to say, I’m not a natural skier 👍🏼」
- @miss_sophia_nomvete – Instagram:「I love my boys… @dylaniscurly_official @mrcox91 #robaramayo #lotronprime」
“ロダ”の再オーディション
ロダ(Loda)と呼ばれる登場人物の再オーディションを行った可能性があるようです。ロダという名前の登場人物はトールキン作品にはいませんし、秘密主義のアマゾン・スタジオがオーディションの原稿で内容を明かすような軽率なことはしないでしょうから、この名前は偽名である可能性が高いです。
再オーディションということですが、このロダという人物は、2019年11月にもオーディションがあった形跡があるため、この情報の参照元の Redanian Intelligence では、理由は不明ながらキャスティングし直した可能性があると推測しています。
このロダは、前のオーディションでは「気持ちを簡単に切り替えられない粗野な男」と説明書きがありました(粗野と訳した原語は earthy で、他に、低俗な、がさつな、洗練されていない、など否定的な意味合いがあるようです)。彼には溺愛する娘と、緊迫関係にある息子がいるようですが、オーディション用の設定の可能性もあります。新しいオーディションでは、ロダの馬を盗もうとした女性を捕らえる場面が読み上げられました。参照元には原稿の書き起こしが掲載されています。
ジョエル・ランバート(アメリカン・スナイパー、マッドメン)、クリス・ブラウニング(ボッシュ、ハンドレッド)、トラヴィス・ジョンズ(フィアー・ザ・ウォーキング・デッド、デッド・オア・ラン)らはロダ役のオーディションを受けて、そのオーディションテープをアップロードしていましたから、彼らは不採用だったのだろうということです。オーディションテープはすでに削除されています。
参考
- Audition for Amazon’s Lord of the Rings hints at possible recast and other casting tidbits – Redanian Intelligence
- New audition tapes for Amazon’s Lord of the Rings hint at Númenor – Redanian Intelligence
非公表の子役の撮影が春までに行われた可能性
Amelie Child Villiers という名前の子役が、役柄は不明ながら、2020年の初旬に『指輪物語』の撮影を行ったと、上記のロダの一件と合わせて報じています。これがどういった情報源から得られた情報かは記載されていません。さらに、出演はまだ一作(Censor)のようで、その一作もポスト・プロダクション中にあり、詳細がほとんどわかりません。
今から2年前のオーディションテープを見つけました。作品は、スペインのデニス・ロビラ監督のホラー作品『La influencia』(2019)ではないかと思います。
中つ国の第二紀で女の子の子役と言えば、すぐに思いつくのは第6代ヌーメノール国王アルダリオンとエレンディスの一人娘にして最初の女王となるアンカリメですが、もしそうだとしたら勝ち気な役どころです。
『指輪物語』クリエイティブチームに参画するトム・シッピー先生の2019年夏のインタビューによれば、『終わらざりし物語』収録の「ヌーメノールの諸王」の使用は認められている様子でしたので、ひょっとしたらヌーメノールのエメリエでアンカリメとハルラカールの出会いが描かれたりするかも? 少年役でタイロー・ムハフィディン君の出演はすでに発表されていますし……。
とはいえ、新しく物語が作られる可能性もある印象でしたから、まったく違う役どころかもしれませんよね。
参考
- Audition for Amazon’s Lord of the Rings hints at possible recast and other casting tidbits – Redanian Intelligence
- Amelie Child Villiers – IMDb
キャストとエキストラを追加募集か
撮影再開の報道に先駆けて、ニュージーランドのオークランドを拠点とするタレントエージェントBGTが、『指輪物語』のエキストラ募集をしているのではないかとTheOneRing.net(以下、TORn)がSNSに投稿しました。にも見た目に特徴のあるエキストラを募集していましたが、今回TORnが取り上げた特徴は、またも「6フィート3インチ(190cm)のアフリカ人、またはアフリカ系アメリカ人」、「168cmで、乗馬ができるケニア人かパキスタン人」……などなど。
NOW CASTING in Auckland:
6'3" African or African/American
168cm Kenyan or Pakistani that can ride horses
Indonesia / Southeast Asian background extras
20-yr olds w long hair + can ride horses (SOUND FAMILIAR?)Must ALREADY be permitted to work https://t.co/uidvdjfrnG
— TheOneRing.net (@theoneringnet) September 24, 2020
また、募集要項のあるキーワードを巡って海外のファンのあいだで多くのディスカッションが交わされています。これは10月分でまとめたほうがよさそうだったらまとめますが、議論の真っ最中ですし、Amazonがそうだと肯定したわけでもないのでスルーするかもしれません。
参考
ヒューゴ・ウィーヴィング、中つ国への復帰は「まさか。絶対にない。」
Variety が行ったヒューゴ・ウィーヴィングさんへの電話インタビューで、彼はドラマ版『指輪物語』で「エルロンドとしてエルフの耳をつけるかどうか」、つまりエルロンド役として復帰したいかどうかについて、「まさか。絶対にない。」と語ったようです。
これは、今度のドラマには「ガラドリエルとエルロンド、サウロンが登場する」という情報を受けて行われた質問かもしれません。ヒューゴさんは、大ヒット作に対し拒みはしないものの、関心は母国のオーストラリアの映画プロジェクトからおもしろい作品を見つけることに向いているようです。
ヒューゴさんが主演を務める『Measure for Measure』は9月4日にオンデマンド配信で公開されました。これはシェイクスピア作品『尺には尺を』を現代風にアレンジしたもので、ヒューゴさんは裏社会の犯罪組織でボスの役ということです。
参考
- Hugo Weaving on ‘The Lord of the Rings’ and ‘Measure for Measure’ – Variety
- Measure for Measure – SAMUEL GOLDWYN FILMS
カヤ・スコデラリオはカナダにいる様子
8月に、アルウェンの母にあたるケレブリーアンを演じるのでは?と、ドラマ版『指輪物語』出演のうわさが流れたカヤ・スコデラリオは、Instagramの投稿を見るにこの頃はカナダにいらっしゃるように見受けられます。
主にInstagramのストーリーへの更新で24時間で消えてしまうため証拠が提示できませんが、一度目は「この電子レンジはどうやって使うの? カナダの人教えて」(大意)といった趣旨、二度目はマクビティのビスケット(ホブノブ)がオンラインストアでかなり高値で売られているスクリーンショットと共に「カナダの人で誰か私にチョコレートビスケットをわけてくれる人はいない?」というテキストを投稿していました。これは、ニュージーランドにいない、つまり『指輪物語』には出演しないと言っているように受け取れるのですが……。
なぜ彼女が『指輪物語』に出演するといううわさが流れたのか、経緯はカヤ・スコデラリオ出演の憶測―ドラマ版『指輪物語』をご覧ください。
参考