The Study of Bag End

ハワード・ショアさん担当の新作とAmazonのドラマ版『指輪物語』のオファーについて

Netflixでに配信スタートした『私というパズル』(原題:Pieces of a Woman)の音楽を、『ロード・オブ・ザ・リング』と『ホビット』のサウンドトラックの作曲を行ったハワード・ショアさんが担当しています。本作品の監督はコーネル・ムンドルッツォ氏、脚本はカタ・ヴェーベル氏。2020年のヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門出品作で、主演のヴァネッサ・カービー氏が俳優賞を受賞したことからも注目されているようです。

※以降は、ショアさんの音楽の説明をするため、どうしても本作の展開のネタばれになるかもしれません。

この作品は、主人公が出産した子供が死産したことを発端に、喪失や主張を異にする家族との関係のもつれ……などなどが描かれているということです。先にサウンドトラックを聴いてみましたが、ピアノと弦楽器を中心にした心に染みるような楽曲でした。

Netflixでの配信開始に伴い、ハワード・ショアさんのインタビュー記事がいくつか出ています。

ショアさんは監督と度々ディスカッションしたうえで、クラシックな音楽にしようと方向性が決まったそうです。監督自身は、ショアさんのピアノ協奏曲「Ruin and Memory」からインスピレーションを得たということで、サウンドトラックの一曲目に同曲が収録されています。それ以外は今作のために作られたオリジナル曲で、悲痛と、亡くなった子供という2つのテーマに基づいているということ。

けれど、ショアの悲痛のテーマは悲しいテーマではない、と彼は指摘する。「本当は希望のテーマなんです。彼女が人生について熟考し、喪失感とどのように付き合うかを考える場面で流れてきます。」*1

監督のムンドルッツォ氏は、オペラや舞台の経験もお持ちだそうで、監督についてショアさんはこのようにおっしゃっています。

「彼のスポッティング(音楽が必要な場所と表現すべきことを選ぶこと)はとてもすばらしかったです。彼の音楽の使い方、考え方、テーマに基づくアイデアの使い方などは、とてもよくできていました。」*1

ということですので、どんな風に使われているのかにも着目してご覧ください。

ところで、今年は『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』公開から20周年。インタビューアーに質問をふられ、この20年を振り返ってショアさんはこのようにおっしゃっていました。

「音楽はレコード盤、CD、その他あらゆるフォーマットで発売され、コンサートでも演奏されています。ですから、音楽はとても広がりました。興味を持ってもらえることをうれしく思いますし、コンサートに来場してくれるファンに会って話ができることも喜ばしいです。ピーター・ジャクソン作品とJ・R・R・トールキンの本のような素晴らしい作品に関わることができるのは、大きな喜びです。」(Observer)

さらに「Amazonのテレビドラマ版『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)の作曲について、連絡はありましたか? なければ、オファーがあったら検討しますか?」という切り込んだ質問に対しては、「制作側とは話していないのでフォローしていませんが、検討すると思います。」*3ということでした。

『ロード・オブ・ザ・リング』と『ホビット』でのハワード・ショアさんの中つ国の音楽は一貫性があり、素晴らしいものでした。Amazonのドラマ版でもショアさんを作曲家に望む声は少なくないでしょう。しかし、現在のところオファーはないということでした。

サウンドトラック(配信版)

Pieces Of A Woman (Music From The Netflix Film)

作曲 ハワード・ショア

参考記事

  1. Howard Shore on Pieces of a Woman, LOTR at 20 and Amazon’s New Show | Observer (accessed on 30 January 2021)
  2. 2020 movie music brought beauty to a tough year – Los Angeles Times (accessed on 30 January 2021)
  3. ‘Pieces of a Woman’ Composer Howard Shore on Writing the Film’s Score – Variety (accessed on 30 January 2021)