The Study of Bag End

地名表記なしの地図がお目見え ―アマゾン・ドラマ版『ロード・オブ・ザ・リング』

公表された内容がまだまだ少ないアマゾン・プライムのテレビ・ドラマ版『ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)』ですが、Twitterなどの各種SNSアカウントが開設されたあと、地図が公開されました。

使い古され、折り目もあり、くたびれた地図です。いったい誰の持ち物なのでしょうか?

こういったものが発表できるということから推測すると、最低限の美術チームは動き始めていることが考えられます。技術や知識のない人に描けるものではないですよね。よく見ると、折り目や汚れている部分も示唆的に受け取ることもできます。

リューンの東側には何があったのか

地図に地名がありませんが、もっと気をひかれたことは、中つ国の東側に地図がのびていることでした。『指輪物語』、『シルマリルの物語』、『終わらざりし物語』のどれをとっても、リューンより東側を描いた地図というのはないのです(日本語版として刊行しているもので最新の地図は『終わらざりし物語』に収録されている地図です)。

リューンという地名は中つ国の物語にはあまり登場しませんが、はなれ山(エレボール)を水源とする早瀬川は、たての湖を経由してリューンの湖に注いでいるので、スマウグの襲撃があった時の湖の町の頭領はここに逃げていったのではないかと考えられます(もちろん、途中で川から離れる場合もあると思います)。聞き慣れはしませんが、リューンに住んでいた人間とゴンドール間の争いが耐えなかったことは、『指輪物語 追補編』にもあります。5人のイスタリのうちサルマンと青の魔法使いは東へ旅をしたことがあると記述されていますが、ガンダルフは行きませんでした。しかしこれは『終わらざりし物語』にある話で、映像化には使用できないのでは。

「リューン(Rhûn)」はシンダール・エルフの言葉で「東」を意味します。イルーヴァタールの長子のエルフ族も、その後に続いた人間も、リューンよりさらに東に位置するクウィヴィエーネンとヒルドーリエンでそれぞれ目覚めたと言われています。

リューンより東側の地図の情報は、トールキンが売った映画化権の範囲を越えているのではないかというのは気になるところ…。さらにカレン・ウィンフォンスタッド氏の『「中つ国」歴史地図』とも、東の山脈や川の形状が異なって見えます。似ては見えますが、なんの情報をもとに描かれた地図なのでしょうか。

北と西、南端

北側はフォロヘル湾、西はリンドン、南はウンバールと、地図は広範囲に出ています。シーズン1は若き日のアラゴルンが題材になるという噂もあります。ウンバールはつねにゴンドールとハラドの係争地で、アラゴルンはソロンギルの偽名を使い、デネソールの父エクセリオン二世に仕えていた時にウンバールを奇襲した逸話もあります。これは、ドラマ化にうってつけのエピソードの一つだと思います。

三つの指輪は…

この句は指輪の詩の冒頭「三つの指輪は空の下なるエルフに王に、」ですが、何を意味するのか…。単にはじまりであることを示すために引用しているとも考えられますし、いくら『指輪物語』本編を取り扱わないにしろ、指輪の影響下にある物語を示すものかもしれません。



地図はこちらから、さらに拡大したものを閲覧・ダウンロードできるようになっています。

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