ディラン・スミスはドワーフ役?
アマゾン・スタジオが製作中のテレビドラマ『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)に出演が決まっている15人の俳優全員が、現時点で誰を演じるのかは公表されていません。そのうち、モーフィッド・クラークさんはその風貌から、第二紀のガラドリエルを演じるのではないかとうわさされていますが……。
アマゾンは、徹底的に情報を秘密にしていることから、テレビドラマに誰が登場するのかといううわさには逐一騒然とする今日この頃。そろそろ何か公式情報を出していただくのもまんざらではないのですが、撮影拠点となっているオークランドでは、COVID-19の影響で再びロックダウンのさなかです。この記事を書いている8月25日時点では、8月30日夜まで警戒レベル3の状態で、都市封鎖しているということです。人が集まれるのは最大10人まで。ドラマの撮影が再開されたという情報は今のところありませんが、製作の進行に何かしら影響が出ている可能性もあります。
こうした中、出演が決まっている俳優の一人、カナダ出身のディラン・スミスさんがに投稿したInstagramの写真に、ファンは一時大騒ぎとなりました。
というのも、まるでドワーフのような風貌の写真を投稿したからです。その投稿がこちら。
たっぷりとある長い鬚といい、余りある頭髪といい、まるで寝起きで髪の毛が爆発しているドワーフです。
アマゾンは、『指輪物語』で第二紀を舞台にすると発表していますから、『シルマリルの物語』や『終わらざりし物語』で第二紀の物語を読んだトールキンファンがこれを見たら「カザド=ドゥーム(モリア)のドワーフだ!」と思う人は多いでしょう。
TheOneRing.net(以下、TORn)のSNSアカウントでも、さっそく取り上げています。昔のドワーフの王ではないか?ということを言っています。
Durin’s folk, arise! Have we found the dwarven king of old? Actor Dylan Smith posted this today From the set of Amazon’s billion-dollar LOTR series. pic.twitter.com/iGW1o5CBuZ
— TheOneRing.net (@theoneringnet) August 23, 2020
There are conflicting stories of the 7 Rings given to the dwarf-kings; some accounts say Celebrimbor gave Durin III his ring, other stories say Sauron distributed all the rings which “kindled greed and wrath in the Dwarves, bringing evils that in the long-term benefitted Sauron.”
— TheOneRing.net (@theoneringnet) August 23, 2020
- 拙訳
- ドワーフの王たちに与えられた7つの指輪には、相反する物語がある。ある説明では、ケレブリンボールが彼の指輪をドゥリン3世に与えたといい、別の説明では、サウロンがすべての指輪を与え、「ドワーフの欲望と怒りに火をつけ、長い目で見ればサウロンの利益になるような悪をもたらした」とある。
これはそれぞれ『指輪物語』の追補A「ドゥリンの一族」、『シルマリルの物語』の「力の指輪と第三紀のこと」に見られる説明だと思われますが、TORnは前後をもう少し読んで書いたほうがよかったかもしれません(わたしがもっと他もあたるべきかもしれませんが)。今はそれはさておき、トールキン教授がどう書いていたのかを見てみましょう。
ドワーフには、長鬚族の王スロールからスラインへ受け継がれたドワーフの指輪がありました。これは七つの指輪のうちの一つでしたが、トーリン・オーケンシールドの手に渡ることはありませんでした。スラインはドル=グルドゥーアに幽閉され、指輪を奪われましたから。この指輪について、前述の「ドゥリンの一族」では、TORnの説明よりもう少し具体的な説明があります。
ドゥリンの一族のドワーフたちは、これが七つの指輪のうち最初に作られたものであると信じていた。かれらの話では、これはサウロンではなく、エルフの金銀細工師たち自身から、カザド=ドゥムの王ドゥリン三世に与えられたのだということになっているが、七つの指輪が鍛えられる時には、全部サウロンが手を貸していたのであるから、かれの邪悪な力がそれに吹き込まれていることは疑いない。
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カザド=ドゥムというのは、モリアの昔の名前の一つです。
アマゾン・スタジオがどの作品まで映像化権を得ているのかは不明ですが、一説によると『終わらざりし物語』の一部は含まれるという証言もあります。この話の中に『シルマリルの物語』は含まれませんでしたが、アマゾン・スタジオは『シルマリル』なしでもドゥリン三世たち第二紀当時のドワーフが指輪を受け取ったことを映像化は可能です。
第二紀のドワーフの名前は、他にドゥリンの扉に刻まれたナルヴィの名前が知られています。
…とまあ、ここまで分析しておきながら何ですが、この写真は最近のものではないという見方が優勢ではないかと思います。ディランさんが2016年に出演した「Dawn」という作品で、ネアンデルタール人の役柄を演じたときの写真ではないかと、このスレッドにツイートが寄せられました。「Dawn」という作品の情報はあまり見つけられませんでしたが、同じく同じ役を演じた時のメイクの写真だろう、と思えるものが見つかりました。ご興味があれば、以下をご覧ください。
All about celebrity Dylan Smith! Watch list of Movies online: Into the Badlands – Season 3, Maze Runner: The Death Cure! Fusion Movies
こういうわけで、ディラン・スミスさんが第二紀のドワーフを演じるという読みをするのは、まだ早いようです。ですが、キャスティングの段階で過去の役柄からインスピレーションを得て俳優を決めるというのは、自然なことのように思えますし、ディランさんにはドワーフらしい鬚や毛量たっぷりの頭髪がお似合いですから、もしかしたら本当にドワーフを演じているかもしれませんね?! そうでなくとも、寝起きのドワーフがみんな、毎朝こんな頭になっていると想像するだけでも楽しいものです。
秘密主義のアマゾンから何か手がかりをつかむのは難しいですが、作品を見られる日を楽しみに待ちましょう!