The Study of Bag End

スタント・ワーカー、デイナ・グラントさんの負傷と募金について

6月末、ニュージーランドのスタント・ワーカーのデイナ・グラントさんの高額かつ緊急の手術のための募金がはじまりました。

手術費用60,000ドル(NZD、日本円で468万円)を目標とした募金は、今日現在、1360人以上の寄付により10万ドルを超えました。Givealittle でこの記事を書いている現在も寄付が可能です。
※1ドル78円換算で試算

デイナさんは、『ワンダーウーマン 1984』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などの作品で世界的にスタントを務めた経験を持つ、20年来のベテラン。スタントとしての活動の他にも、スタントスクールの運営に取り組み、若手の育成にも注力しているということ。

※以降、負傷に関する記述を書きますが、専門外なので誤りがあるかも。正確にお知りになりたい方は、下部の参考記事をご覧ください。

その彼女がスタント中に頭部のけがを負ったのは今年3月のこと。アマゾン・スタジオが製作中のドラマ版『指輪物語(The Lord of the Rings on Prime)』の撮影現場でのことだったということです。この事故の後、日常生活に戻ることが認められ、他作品の複数の作品でスタントを務めたようです。しかし、その後精密検査により8mmの動脈瘤と上部脊椎損傷(首)という診断を受け、緊急の手術が必要な状況だそうです。

募金活動が数日で目標額に達した後、手術の予定を立てられたこと、術後、半年は体を動かすことができないストレスを大いに減少できたこと、そして寄付と呼びかけへの感謝をつづりました。大きく貢献したのは他作品で共演した俳優ながら、LOTRonPrime のサイモン・メレルズさん、ナザニン・ボニアディさんもInstagram Stories で寄付の呼びかけをしていました(他にもいらっしゃったかもしれません)。手術が成功に終わるようお祈りします。

ところで、LOTRonPrime の撮影現場でスタント・ワーカーの負傷者について報道されるのは、実はこれが二例目。一例目は昨年2月、シーズン1が撮影開始されてまもなくのことでした。デイナさんについては、LOTRonPrime での撮影中に負傷したことと直接的な関連は認められていないとする報道もありました。その一方で、LOTRonPrime の撮影現場の安全性や管理体制について疑問を訴える声もあるようです。

報道を受けたアマゾン・スタジオの広報は「アマゾン・スタジオは、キャストとクルーの健康、身体的、精神的な福祉を非常に重視しています。」、「制作チームは、義務づけられている WorkSafe [労働者の安全と健康を保護する政府組織]と政府が規定する安全保障を最優先事項として、完全に遵守し続けています。撮影現場での活動が安全でない、あるいは規則が守られていないという申し立てや報告は、まったく正しくありません」(Variety)と、述べたようです。

匿名の制作関係者の話によれば、この『指輪物語』のドラマシリーズは、2020年のはじめにシーズン1の撮影を開始して以来、スタント・ワーカーの勤務状況は1万6200人日にも及ぶそう。負傷率は0.068%で、ほとんどは捻挫、打撲、筋肉や軟部組織の負傷ということ。また同じ人物は、デイナさんの3月の事故は、Worksafe の通知義務のある事故の基準を満たさなかったと発言したようです。

いずれにしても、スタント・ワーカーの出番は相当多いようです。秘密保持契約(NDA)があるため、こうした事故後でもスタント・ワーカーが真実を明るみに出すこともむずかしいよう。撮影中の故障の一例目に挙げた、エリッサ・カドウェルさんも事故後にコメントは控えざるを得なかった様子です。

現在出てきている情報だけでは、どうとも言えないように個人的には思いました。けれど、誰かの健康を犠牲にして作品を楽しむのは難しいことです。アマゾン側には疑問が出ていることを真摯に受け止めてもらいたいですし、安全を徹底してほしいと感じました。

デイナ・グラントさんへの寄付はまだ受け付けています。お力になりたいと思うかたの参考になれば幸いです。

参考記事