The Study of Bag End

アマゾン独自の隔離施設の提案について

ドラマ版『指輪物語』の撮影地をニュージーランドからイギリスへ移すことを、アマゾン・スタジオは先月発表したばかり。

アマゾンはこの撮影地移転について「イギリス全土に制作拠点を拡大し、撮影所に投資するというスタジオの戦略に沿ったもの」と説明しました。ですが、この発表はニュージーランド政府にとっても寝耳に水のことで、アマゾン側には真意が二つあるのではという話を以前ご紹介しました。

驚きの発表から一か月半ほどが経ったところで、地元紙のニュージーランド・ヘラルドがある事実を明らかにしました。昨年にさかのぼる話です。

ご存じの通り、2020年初頭から続くコロナ禍により、世界中の国々が国境を閉鎖して感染拡大を防ぐための尽力が続いています。その中でニュージーランドの対策はいち早く世界中から高評価を得ていました。厳密に国境を閉鎖し、都市封鎖もたびたび行われています。また、一部の認められた入国者や陽性反応があった人は隔離といった対策を講じています。観光が主要な産業であるニュージーランドにとっていかに大打撃になったでしょうか。

ドラマ版『指輪物語』 シーズン1の撮影も奇しくも 2020 年初頭に開始されましたが、コロナウイルスのパンデミックにより早々に撮影が中断されました。

一度は出国した人も、ニュージーランドに残った人もいましたが、同年9月下旬に撮影再開するため、キャストやクルーは再入国の特別許可を得ました。特別許可があっても、ニュージーランドへ入国する時にはもちろん14日間の隔離が必要でした。関係者とその家族の合計 271 人がその対象。これだけでもプロジェクト管理は難航するでしょうね……。

ところで、今回取り上げる新事実というのは、この入国と隔離に関することです。

撮影再開の少し前、2020年8月に、アマゾン・スタジオはニュージーランド政府に対してある提案を行っていました。けれど、提案は却下されたようです。

それというのは、アマゾン・スタジオが独自の隔離施設を用意するという提案でした。ホテル、別荘、賃貸物件などを借り上げるという計画。ただでさえ撮影の一時中断を余儀なくされ予定外に遅れましたから、挽回するアイデアの一つだったのでしょうね。

これが却下された理由は政府の広報が説明しています。政府の管理隔離・検疫局 (MIQ) が滞りなく管理をするためには、既存の施設を使用するのが重要だそう。それは、そうでしょうね。想像に難しくありません。とにかく、これが却下の理由ということ。なおかつ、アマゾンから正式に申請されたものではないとも話していたそうです。

けれど、ニュージーランド・フィルム・コミッションの広報担当は、ドラマ版『指輪物語』の撮影地移転はこの提案の却下が理由ではないと話していますから、これが撮影地移転の理由の一つと説明するのは拡大解釈になりそう。

けれど、やはりここにも絡んできてしまうコロナ禍の問題なのでした……。

参考文献

  1. Revealed: Amazon’s private Lord of the Rings MIQ pitch shot down by Government last year – NZ Herald, posted on 27 September 2021.