The Study of Bag End

アマゾンは何をほのめかしたのか?

毎年3月25日は、トールキン・ソサエティの呼びかけで「Tolkien Reading Day(トールキンを読む日)」が開催されます。ソーシャルメディア、特にツイッターでは世界中のトールキンファンや研究者、団体や企業までもがこのハッシュタグ #TolkienReadingDay をつけて投稿する、ビッグイベントの一つです。

このイベントの日、ドラマ版『ロード・オブ・ザ・リング』の制作が進んでいるアマゾンが同ハッシュタグをつけて、こんなツイートをしていました。

追補Aと追補Bのどちらを読んだらいいか決められない…われわれは何を読むべきですか?(拙訳)

その後、ファンからは「両方だ!」とかなりの数が寄せられていた様子。実際にはどうしたのでしょうね。個人的には、AとBはあわせて読むことで歴史がわかると思うのですが。

〈補足〉追補Aと追補Bとは?

原作を未読の方のためにご説明すると、追補Aと追捕Bというのは、『指輪物語』の巻末の「追補編」に含まれているテキストでAからFまであり、単行本一冊分の厚さがあります。追補Bは追補Aを主に年表にしたものなので、掲載されている内容は重複する部分もあります。

  • A 「王たち、統治者たちの年代記」
  • B 「代々の物語(西方諸国年代記)」

主に映画『ロード・オブ・ザ・リング』で語られる前の時代までの、第二紀から第三紀までの歴史が綴られています。その年数、なんと6000年以上にのぼります。

ドラマ化についてのヒントはあるのか?

前述のツイートをした同日、何か告知があるかもしれないと予想していたのですが、お知らせはありませんでした。アマゾンのこのツイートから何がドラマ化されるのか、そのヒントを得ることはできるでしょうか?

推測でしかありませんが、今回のツイートはあくまでも『指輪物語』のドラマ化であることを主張しているように感じます。

数週間前に公開された「地図5」のインパクトは、とても大きいものでした。「第二紀へようこそ」と投稿されたヌーメノールを含む地図を披露したことは、少なからず『ホビットの冒険』と『指輪物語』以外のトールキンの原作、具体的に言うとどれも未完の物語が収録された遺稿集『終わらざりし物語』へと、ドラマの範囲が及ぶのではないかと予想できるからです。それゆえ「第二紀の物語が描かれる」ということだけでなく、「若き日のアラゴルンを描く噂は否定された」と報道するメディアもありました。

『指輪物語』の追補Aと追補Bは第三紀の内容が大部分を占め、第二紀に関する記述は第三紀の基礎となるトピックに限定されています。ただ、『終わらざりし物語』には第三紀の物語も多く収録されていることを考慮して推察したほうがよさそうです。例えば、イシルドゥアの死を招いた「あやめ野の凶事」、ゴンドールとローハンが結んだ友情のこと、サルマンやガンダルフ、ラダガストの仲間で謎の多い青の魔法使いのこと…など。

アマゾンは、上記のツイートに寄せられたファンからのコメントへ、何件か返信をしました。大部分はトールキンの『指輪物語』の原作からの引用です。他には『ホビットの冒険』の原作からの引用が一つ、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズからの引用もありました。

ほのめかしの意図は全然なくて、単純に Tolkien Reading Day のイベントに参加しただけなのかもしれません。もしくは、ほぼ明白に思える『終わらざりし物語』の映像化権取得に関してはまだ公表時期ではないということかもしれません。とはいえ、ドラマは少なくとも5シーズンは制作される予定。登場するキャラクターや年代は、広範囲の及ぶ可能性もあります。なにせ可能性としては今のところ6000年以上ありますから。

少なくともアマゾンは、3月25日にファンの間に存在感を示したことは確かです。

3月25日の @LOTRonPrime のツイート

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