The Study of Bag End

ロード・オブ・ザ・リングのロケ地、ローハンの「エドラス」に行ってきました

はじめに

この記事は、2013年12月にニュージーランド南島・カンタベリー地方にあるマウント・サンデー(Mount Sanday)を訪問した体験記です。「ハッスル・フリー・ツアーズ(Hassle-free Tours)」の「ロード・オブ・ザ・リング:エドラスツアー(Lord of the Rings: Edoras Tour)」のガイドツアーに参加して、目的地に向かいました。

ローハンの都市「エドラス」は、『ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔』(第二部)と『ロード・オブ・ザ・リング:王の帰還』(第三部)で舞台になりました。この場所の美しさは映画の中でも随一です。映画に登場したセットはすべて映画製作のためにつくられたもの。「エドラス」の撮影地は私有地なので、現在セットはすべて撤去されています。

それでもエドラスの丘の頂上に登り、高い山に囲まれた土地を眺めるのはとてもいい気持ちでした。クライストチャーチからの移動時間が長く、たどり着くのは楽ではありませんでしたが、映画を見てこの場所に憧れた方にはおすすめしたい場所です。

Hassle-Free Toursの車
ハッスル・フリー・ツアーズの車。ツアーガイドさんがこの車で案内してくれます。

もくじ

作者トールキンによるエドラスの描写

原作者J・R・R・トールキンは原作『指輪物語』に、詳細な土地や地理の記述の他に地図をつけました。霧ふり山脈の他に中つ国の通行を左右するのは白の山脈(White Mountains)で、霧ふり山脈の南方に、東西に延びています。エドラスは白の山脈の北側に位置していて、山脈を眺めやることができます。

エドラスというのは、王の居城のある都市の名前で、そこを首都とするローハンの国の言葉(古英語)で「宮廷」を意味します。1 『指輪物語』の中でトールキンは、エドラスをこう描写しています。

一行の前には南の国の山脈がそそり立っていました。白雪を頂き、黒いすじをつけた山脈でした。茫々たる草原は起伏しながら山脈の麓に連なる丘陵に迫り、まだ暁の光も射さぬ、多くの小暗い谷間に入り込み、さらにその谷間を縫うようにして第山脈の中心部にまで達していました。旅人たちのすぐ前には、このような峡谷の中でも一番広い谷間が、丘陵の中に長く突き出た入り江のように開けていました。そのずっと奥の方にごちゃごちゃ重なりあった山塊があり、高い峰がただ一つ聳えていました。谷間の入口には歩哨のようにぽつんと丘が一つ立っていて、丘の麓には谷から流れ出た水が銀の糸のように流れていました。

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地図と描写でエドラスについて多くのことがわかります。映画を撮影するにあたって、エドラスの背後には冠雪した山脈が必要でしたし、騎馬民族であるローハンの人たちの生活スタイルに馬で疾駆できる草原があるのは最適ですね。

エドラスの撮影地、マウント・サンデーとは

ニュージーランド南島中央部、国内最高峰のマウント・クック(標高3724メートル)を有するサザン・アルプスに近づいたところ、ポッツ山(Mt.Potts)のかたわらにあります。マウント・サンデー(Mount Sanday)と呼ばれている標高611メートルの丘が「エドラス」の撮影に使用されました。

原作と同じように、山間いの草原にぽつんとひとつだけ丘があって、その背後にはサザン・アルプスの山々が連なっています。ここを『ロード・オブ・ザ・リング』製作陣が発見したのは、ニュージーランド中をヘリコプターで飛びまわり、中つ国のロケ地に最適な場所を探しまわったおかげでしょう。

私が行ったのは12月で初夏で、山間部のためか強い風が吹いています。薄いスマートフォンを撮影のためにかざすと飛んでいってしまうのではないかと心配になるような強さの風です。この時、日よけ用の帽子を失くしてしまったのですが、あればきっと飛んでいたでしょう。

『ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔』(以下、「二つの塔」)で、セオデン王の居城メドゥセルドのポーチに佇むエオウィンの近くから、旗が風で飛ばされるシーンがありました。映画ではそれをアラゴルンが麓で目にしますが、あの旗は計算された演出ではなく、自然のもたらした偶然の出来事だったそうです。

エドラスへの行き方&利用ツアー

エドラスの撮影地は私有地のため、エドラスの丘のふもとまで行き、さらに頂上へ登るにはツアーに参加する必要があります。私は「ハッスル・フリー・ツアーズ(Hassle-free Tours)」を利用しました。こちらは「地球の歩き方」や「100% PURE NEW ZEALAND」で紹介されています。

このツアーは、クライストチャーチまたはメスベンから出発していて、宿泊施設(場所によってはその近く)まで送迎をしてくれます。私はクライストチャーチからの参加でしたので朝9時に出発し、帰宅したのは17時頃(ツアーのビデオによると18時頃が目安とのこと)。ツアー催行会社のWebサイトによると、クライストチャーチからの所要時間は8.5時間程度、メスベンでのピックアップの場合、ピックアップ時刻は11時15分となり、所要時間5.5時間程度とのことです。

参加費は送迎とピクニックでのランチ(私の場合はサンドイッチでした)を含めて$245299ドル。ツアー会社のWebサイトで事前に予約をしました。予約はもちろん、ツアーガイドもすべて英語です。

私が参加した日の参加者は、私を含めて全員が英語が母国語でないため、ツアーガイドさんは「キウイなまりにならないように、なるべくゆっくり話しますね」と気を遣ってくださりました。こんなラッキーもあるのですね。ちなみにこの日の参加は3組。私の他はロシアとデンマークからいらしていました。

ガイドさんの名前を覚えていないことが残念でならないのですが、彼は若い頃に日本を含めていろんな国を旅したそうで、言葉が通じなくても、他国へ旅行する人に対して理解のあるすてきな方だと思いました。だからこそガイドのお仕事をされているのかもしれませんが、そのガイドさんのおかげもあって快適で楽しい1日でした。

エドラスまでの道のり

当日は宿泊施設の付近への送迎があります。朝9時に指定の場所へ行くのですが、参加者を順にピックアップしていくので、場所によっては数分待つことになります。それを教えてもらえなかったのでやや不安になりました。連絡手段をきちんと確認しておくといいですね。

リッカートンのモーテルで最後のピックアップを終えてクライストチャーチを抜けると、ニュージーランドで最も長い橋を通って水色が美しいラカイア川を渡ります。

休憩は、往路・復路ともに2回ありました。1回目はカフェ(Salmon Tales Cafe)で休憩しました。私が参加した日はとてもいいお日和でしたので、カフェのテラスでフラットホワイトを飲むのは気持ちよかったです。ロシア人のご夫妻と、お互いのニュージーランドの旅について話していました。そうしていると、あっという間に休憩も終了です。

クライストチャーチ周辺は広い平野部で、ラカイア川を抜けた後は牧草地の間に通っている道をひたすら走っていきます。時々、牛や鹿、アルパカなどの家畜がいるのですが、鹿の家畜がいたのには驚きました。また、巨大なスプリンクラーがあったのも珍しかったです。サザン・アルプスの山並みが見えてくるのは道をずいぶん進んでからですが、遠くに長い稜線が見えてきた時には感動しました。

途中から砂利道を疾駆します。エドラス到着直前には川に入って横切るため、この辺りでは車は大きく揺れます。

遠くからエドラスを眺める

2つの湖に挟まれた道を抜けるといよいよエドラスが見えてきます。右にポッツ山が見えてきたところで一度降車させてもらいました。西の方角を見ると遠くにぽつんとエドラスの撮影に使用された丘が肉眼でも見えます。上で紹介した、エドラスへ行った一行もこんな風にエドラスに近づいていったのでしょう。

the wide view of Edoras and Mt. Cook that I thought it
マウント・ポッツのふもとからエドラスを遠くに望む

エドラスに登る

さらに車で進みます。前述の通りここは私有地のため、ツアーに参加しなければ入ることはできません。麓には鍵のかかったフェンスがあり、ここを通過するといよいよ降車です。

ガイドさんが車からおもむろに、映画で使用された剣や斧のレプリカを持ち出します。この時にあったのは、アンドゥリル、ヘルグリム、ドワーフの斧。それから武器ではありませんが、ローハンの国旗。みんなで分担して持ち運びます。私が大きめのカメラを持って、のろのろと写真を撮って登っていったので、途中からガイドさんに持っていただきましたが…。

Edoras a.k.a. Mt. Sunday from the base
エドラスの丘(マウント・サンデー)のふもとから

写真にもある吊り橋を渡ります。ここの川はとにかく澄んでいて美しかったです。

エドラスの標高は600メートルほどですが、ふだん運動をしないインドアな私には少々たいへんでした。また写真を撮って立ち止まるためだいぶ遅れをとってしまったのですが、自分のペースで登らせてもらえるので急がなくて大丈夫。十分にエドラスの周辺を眺めやってください。エドラスの城下町があった辺りを登って山頂を目指します。

山を登りきると四方に美しい山々が見えます。遠くには初夏でも冠雪したままの山もありました。ここからマウント・クックを見つけるのは、手前の山が邪魔になって、おそらく難しいのではないかと思います。エドラスからの風景を十分に堪能して、武器や旗のレプリカを持って記念撮影をしました。

湖畔でピクニックランチ

ひとしきりエドラスを楽しんだ後は、少しだけ戻ってクリアウォーター湖の湖畔でピクニックランチの時間です。この湖畔はホリデーのための別荘地のようで、サンドイッチとデザート、それからシャンパンとジュースを用意してくださっていました。自然の中での食事はそれだけでも気持ちがいいし、この日の旅を一緒にしている人たちとゆっくり会話ができる、楽しいひとときです。

クリアウォーター湖の湖畔でピクニックランチ
クリアウォーター湖のほとりでピクニックランチ

なごりおしい帰途

この後は帰途につきました。往路と同じ道を進みます。最初は車窓を楽しんでいましたが、ニュージーランド旅行中ずっと時差ボケで眠かったので、帰りはほとんど眠っていました。往路とは逆の順番で参加者を送っていきます。

まとめ

1日がかりで決して安くはないツアーでしたが、私は参加して良かったです。ニュージーランド旅行中、他にニュージーランドらしい大自然の中にあまり行く機会を持てなかったこともあり、よけいに満足度が高いのかもしれません。ニュージーランドから帰ってきて、ここで撮った写真を振り返ることがいちばん多いです。映画を見てエドラスに心惹かれた方にはぜひ行っていただきたいです。実際の中つ国におけるエドラスはもう少し開けた草原にあるというのが私のイメージですが、エッセンスはたっぷりと感じられました!

注意点

  • 「ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔」撮影時のエドラスとお城メドゥセルドのセットは、撤去されて建物の姿は残っていません(もともとCGも多用しています)。
  • エドラスツアーを催行しているHassle-Free ToursのFacebookでの投稿によればこの山は「Mount Diachiac」だそうですが、おそらくタイプミスで、「ダルキアック山(Mount D’Archiac)」でしょう。
  • 参加時はスニーカーまたはトレッキングシューズがおすすめ。600m級の丘を登るのはインドア派にはたいへんでした。また、前日までの天候によっては地面はぬかるむようで、観光の快適さは天候に左右されるようです。
  • ツアーの内容は天候などの状況、サービスの変更に応じてここに書かれてある内容と異なる場合もあるかもしれません。ご参考程度にどうぞ。

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Footnotes

  1. ^J.R.R.トールキン 『新版 指輪物語:追補編』 瀬田貞二・田中明子訳 評論社 1992年 固有名詞便覧
  2. ^J.R.R.トールキン『新版 指輪物語:二つの塔<上>』 瀬田貞二・田中明子訳 評論社 1992年 「黄金館の王」 P.185

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