The Study of Bag End

ぶんぶんりんごのアップルドア

appledore railway station

イングランド南東部、イースト・サセックスを鉄道で旅していると「アップルドア(Appledore)」という駅を通過しました。アップルドアという名前の土地があるんですね。

この地名をトールキンは『指輪物語』のなかで、ブリー村に住むホビットの名字にしました。瀬田貞二さんは「ぶんぶんりんご」と翻訳しています。ぶんぶんりんごさんの家ははりんご農園を持っているのかもしれないし、ホビットにありがちな赤ら顔が際立っているのかもしれません。

ブリー村の人間たちはだれもみんなちょっと植物的な(そしてホビット庄の者にとっては少々おかしい)名前を持っているようでした。たとえば燈心草ろうそくとか、やぎの葉とか、ヒースの足指とか、ぶんぶんりんごとかいったものでした。あざみ毛とか羊歯とかいうのもありました。

1

この言葉は古英語を語源に持ち、「りんごの木」を意味します。2

「ぶんぶんりんご」のぶんぶんは、飛び回ったり、振り回したりするときの擬音ですから、「ぶんぶんりんご」は適切な訳とは言いがたいですね。おそらく瀬田さんは「dore」をぶんぶん飛ぶ蜂と誤ってとらえて訳されたのではないかと思います。3 たしかに、りんごの栽培をイメージすると受粉のためにみつばちが飛んでいる光景が思い浮かびますが…。

Footnotes

  1. ^J.R.R.トールキン 『新版 指輪物語:旅の仲間』<上> 瀬田貞二・田中明子訳 評論社 1992年 「九 躍る小馬亭で」 p.284
  2. ^J.R.R. Tolkien, Christopher Tolkien (ed.), “Guide to the Names in The Lord of the Rings”, published in A Tolkien Compass (edited by Jared Lobdell), entry Appledore
  3. ^dor – Wiktionary edited on 6 September 2018, at 11:47.(閲覧日:2018年11月7日)
Tags: |

New Articles