The Study of Bag End

「中つ国」歴史地図 ― トールキン世界のすべて

「中つ国」歴史地図 Photography (c) The Study of Bag End

こんな人におすすめ

  • トールキン作品の中つ国を広くカバーできる地図の本が欲しい
  • 『ホビットの冒険』や『指輪物語』でビルボや旅の仲間の経路が知りたい
  • 地図が好きだから、中つ国の地図を眺めたい
  • ※『指輪物語』に限定した地図が欲しい場合は『指輪物語 フロドの旅 ―「旅の仲間」のたどった道』もおすすめです。

「中つ国」歴史地図』は、中つ国の地図帳です。この本のすごいところは、製図と地図の専門家カレン・ウィン・フォンスタッドさんによる地図と解説のあるところ、同じ地図本の『フロドの旅』より広範で奥深い点にあります。時代は上古から第四紀のはじまりまでカバーしているので、『シルマリルの物語』、『終わらざりし物語』、『ホビットの冒険』、『指輪物語』などの副読本としての役割をこれ一冊で担ってくれます。

書籍名は『「中つ国」歴史地図』ですが、この本には中つ国に留まらずヌーメノールやヴァリノールの地図まで収録されています。トールキン教授の中つ国地図を見て、もっと詳細度の高い地図が欲しいと思うことが多々あります。そんな時にもこの『歴史地図』の出番です。さらに、ミナス・ティリスや角笛城など建造物の構造、ペレンノール野の合戦などで自由の民の勢力や敵軍が侵攻したルート、『ホビットの冒険』と『指輪物語』での登場人物の行程なども明らかになります。

冒頭から解説を順番に読んでいくのもいいですが、『ホビットの冒険』と『指輪物語』まで読んでいて『シルマリルの物語』は未読だと、つまずいてしまうかも。まずは知っている場所の地図や解説を参照するような使い方をしてもいいと思います。また、この本は『中つ国の歴史』シリーズという未邦訳の遺稿集も参照しているので、日本語では読めないけれどトールキンが中つ国についてどんな構想をしていたのかを地図から知ることもできます。

一つ問題というと大げさですが、日本語版は旧版の固有名詞の訳を利用しているところがあるのは知らないと引っかかるポイントです。「ヌメノール」が新表記「ヌーメノール」という程度なら気にはなっても無理なく理解できると思います。ところが、ホビット庄の「ひだ村」は新版では「タック村」、最新版では「タックバラ」、同じく「締金村」は新版では「バックル村」、最新版では「バックルベリ」といった違いが数カ所見られます。この点はご留意のうえお読みになるといいと思います。『歴史地図』日本語版は2002年に発売されましたが、かいつまんでご説明したように1992年の『指輪物語』の改訂が反映されていない点は、同じ評論社から出版されている本としては評価しにくいです。短所はありますが、この本のすごさが十二分に補ってくれます。

トールキン作品に夢中になる兆しがあれば、手元に置いて損のない一冊です。

出版社による紹介文

日本語版

本書は、上古の時代の「世界」の創造から第三紀に至るまでの地理案内・歴史案内の決定版として、『シルマリルの物語』『ホビットの冒険』『指輪物語』に描かれた魔法の世界を照らし出す。主要人物の旅路が、数百にもおよぶ地図と表によって跡づけられている。第一紀、第二紀、第三紀の合戦や主要な場所は、すべて網羅されている。特殊な地形の描写や、城などの設計図もあれば、「中つ国」の歴史全体を通じての気候、人口分布、言語、植生といった、テーマ別の地図もある。詳細な説明と注釈は、これらの地図とトールキンの作品を関連づける手がかりになることだろう。

書籍情報

日本語版

書籍版

「中つ国」歴史地図 ー トールキン世界のすべて

作 カレン・ウィン・フォンスタッド
訳 琴屋草

発売日
出版社
評論社
ISBN
4566023753 / 9784566023758
ページ数
226頁
定価
4,620円(税込)
公式情報

電子書籍版

『「中つ国」歴史地図 ー トールキン世界のすべて』日本語版の電子書籍版は、現時点で未発売です。

英語版

原書の題名は『The Atlas of Middle-earth』です。英語版には電子書籍版があります。

本の目次

  • 第一紀-上古
  • 第二紀
  • 第三紀
  • 地域別地図
  • ホビットの冒険
  • 指輪物語
  • 主題別地図

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