The Study of Bag End

『シルマリルの物語』(日本語訳)

トールキンの『指輪物語』が気に入ったら、次にファンがすすめることが多いのは『シルマリルの物語』です。2003年に翻訳が見直された新版が発売されました。

読む順番などについては「中つ国への手引き」で詳しく説明していますので、そちらをご参照ください。お好みによっては、『シルマリルの物語』よりも先に『終わらざりし物語』の一部を読むのもいいのではないかと思います。

『シルマリルの物語』は、『指輪物語』を執筆する前からトールキンが出版を切望していた物語ですが、書き上げられることなく亡くなりました。ですが、実のところトールキンは晩年まで執筆を続けていたのです。大量の原稿をご子息で幼い頃からトールキン教授の創作を読んでいたクリストファ・トールキンの手によってまとめられ、1977年に出版されました。

この本が主として取り扱うのは、「アルダ」と呼ばれる中つ国を含む世界の創造と、第一紀のエルフ族と人間の、サウロンのボスとの長きにわたる戦いと動乱の最中を生きる者たちの物語です。もちろん、ドワーフ族も登場します。『指輪物語』のように全体を通じて一人のキャラクターが登場するのではなく章ごとに主人公が異なるのは、これをトールキンが神話として描いたことがひとつの理由です。

『指輪物語』に比べると読解力が必要です。でも、この本を読み終えた後には、異なる視点からでフロドやアラゴルンたち、ガンダルフたちの物語を味わうことができるので、少しずつでも、わかるところからでも、ぜひとも読んでみてください。トールキンが『指輪物語』と一緒に『シルマリルの物語』を刊行したがっていた顛末は、『或る伝記』で語られている通り。だから、一緒に読んでもらいたい本なんです。

『指輪物語』を読了していたら、『シルマリルの物語』に収録されている、エルロンドの双子の兄弟エルロスが王の父祖となったヌーメノール王国の没落を描く「アカルラベース」や、力の指輪のことと『指輪物語』を視点を変えて語り直した「力の指輪と第三紀のこと」から読むのもいいでしょう。

『新版 シルマリルの物語』

著者
J・R・R・トールキン
編集
クリストファ・トールキン
訳者
田中明子
出版社
評論社
発売
2003年
ページ数
588ページ
言語
日本語
電子書籍
なし

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