The Study of Bag End

ジョン・ハウさんの画集『中つ国の旅人: 袋小路屋敷からモルドールまでのスケッチ』

書影:A Middle-earth Traveller
書影

こんな人におすすめ

  • ジョン・ハウさんの中つ国の絵をあますところなく見たい
  • トールキン作品を絵を通して楽しみたい
  • 映画『ロード・オブ・ザ・リング』と『ホビット』の風景やセットが好き

A Middle-earth Traveller: Sketches from Bag End to Mordor(中つ国の旅人: 袋小路屋敷からモルドールまでのスケッチ)』は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』及び『ホビット』でアラン・リーさんと共にコンセプト・アートを担当された、ジョン・ハウさんによる鉛筆でのスケッチ中心の画集です。ジョン・ハウさんは今後配信開始されるテレビドラマ版『指輪物語』でも同様のお仕事をなさっています。

この画集は、鉛筆で描かれたスケッチ画が大部分を占めますが、カラー作品も点在します。約190ページに多数のスケッチが収録されていて、大満足のボリュームです。また、絵だけでなく、トールキン作品に造詣の深い画家、ジョン・ハウさんの目を通した考察も読めるので、目で見て楽しく、読んでためになる画集です。映画で見たことのある風景のスケッチも見かりますよ! この画集は日本語版もありますよ。

以下の画像は、ハーパーコリンズ社が運営する、トールキン公式 Facebook ページより。

画集の副題には「袋小路からモルドールまで」とありますが、フロドやビルボの冒険があった第三紀の終わりだけでなく、第一紀や第二紀のスケッチも収録されています。

ジョン・ハウさんは、『中つ国の歴史』シリーズのペーパーバック版の装画を描いたことからもわかる通り、広範な時代にわたってトールキン作品に精通しています。『指輪物語』、『シルマリルの物語』がなかなか読みにくいという声は多いですが、『中つ国の旅人』でハウさんの絵を見ながら考察を読んでみるのもいいかも。姿、かたちが見えると物語の想像がしやすくなることってありますよね。

この画集は『ミドルアース―トールキンとジョン・ハウのファンタジー・イメージ画集』の題名のもと、日本語版も刊行されました。トールキン作品の原作を読んだことがなくても、映画を観ていれば十分楽しめると思います。『シルマリルの物語』を読んでいないとわかりにくいところもありますが、そういうのは一部です。

もしかすると、映画で準拠した翻訳とは異なる固有名詞の表記が使われている点は読みにくく感じるかもしれません。例えば、ビルボとフロドの家の「袋小路屋敷」は「ふくろの小路屋敷」、「中つ国」は「ミドルアース」、「霧ふり山脈」を「霧の山脈」とする、のような違いがあります。翻訳した山本史郎氏の過去の翻訳作『ホビット』(原書房刊)に依っているためです。逆にこちらを読んだ人は自然に読める点が多いと思います。

ふだん画家の絵は見れてもお話を聞く機会はなかなか得られません。ジョン・ハウさんがどのように中つ国をとらえ、描いているのかをぜひお楽しみください。

書影:ミドルアース―トールキンとジョン・ハウのファンタジー・イメージ画集
日本語版の書影
英語版と日本語版のカバーの比較
(上)英語版はツヤのないマットなカバー
(下)日本語版は光沢感のあるカバー

出版社による紹介文

日本語版の紹介文

物語にとって重要な場所にくわえて、丘のむこう、地平線の先にまで、トールキンの本に描かれた出来事が探求される。『ロード・オブ・ザ・リング』の時代にはもはや伝説となっていた様々の時代の戦いの野、失われた王国、古代の神話、北のさいはて、海の向こうの国まで及ぶ。

補足最後の一節は「海の向こうの国まにまで及ぶ。」とされていましたが、誤記と思われるため「海の向こうの国まで及ぶ。」へこちらで変更しました。

原書の紹介文

拙い素人訳ですが、ご参考になれば幸いです。

著名なトールキン作品のアーティスト、ジョン・ハウに、袋小路屋敷からモルドールへと記憶に残る中つ国の旅へと案内してもらおう。このスケッチブックにはこれまで未公開の作品や中つ国についての逸話が満載だ。

中つ国には、ビルボとフロドの旅で練られ、考え抜かれた地図がある。だが、それでも荒野が残っている。J・R・R・トールキンが彼の作品中でわれわれを案内した道より、知られていない道のほうがはるかに多い。

『A Middle-earth Traveller』は、トールキンの中つ国を徒歩旅行で、物語の中心地だけでなく、お山の向こうや地平線のかなたにある場所までも描いている。失われた国々と古の神話、はるか北にある王国や海の向こうの土地など、『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』の時代には、ほぼ伝説と化している異なる時代の戦いなど、トールキン作品で描かれた出来事を探検する。

その場で描いたかのようなスケッチに画家がトールキン作品から得た観察を織り交ぜ、絵を描くだけでなく彼による文も掲載される。映画『ロード・オブ・ザ・リング』と『ホビット』の両三部作をピーター・ジャクソンとともに製作した時のこともまた、振り返る。映画のために製作されたコンセプトワークと、既存の中つ国作品、そして描き下ろしの新たな絵やスケッチを組み合わせた『A Middle-earth Traveller』は、トールキンの魔法のような風景の至るところへと、格別で忘れられない旅へと読者を誘う。

A Middle-earth Traveller: Sketches from Bag End to Mordor – The Official Tolkien Online Bookshop (accessed on 16 July 2021)
英語の原文をこの記事の筆者が日本語に翻訳した。

書籍情報

日本語版

書籍版

ミドルアース
トールキンとジョン・ハウのファンタジー・イメージ画集

著 ジョン・ハウ
訳 山本史郎

発売日
出版社
原書房
ISBN
4562057130 / 9784562057139
ページ数
200頁
定価
4,180円(税込)
公式情報
ミドルアース – 原書房

ジョン・ハウさんの画集を日本語で届けてくださったことをうれしく思います。ですが、僭越ながら翻訳に関して気になる点がありました。「ジョン・ハウさんとアラン・リーさんの「イメージ画集」の日本語訳について」で言及しました。

英語版(原書)

ハードカバー版

A Middle-earth Traveler:
Sketches from Bag End to Mordor

著 John Howe

発売日
出版社
HarperCollins Publishers
ISBN
0008226776 / 9780008226770
ページ数
192ページ
定価
£20.00
公式情報
A Middle-earth Traveller: Sketches from Bag End to Mordor – The Official Tolkien Online Bookshop

この他、アメリカ版があります。

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