The Study of Bag End

ローハンのウォルド(高地) ―映画で出なかった場所にLOTROで行ってみよう

『ザ・ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』(以下、LOTRO)をプレイして感動したことの一つに「ピーター・ジャクソンの映画シリーズで行けなかった場所や原作で行かなかった場所へ行ける!」ということがありました。感動しただけでなく、トールキンの微細な記述を逃さずに中つ国が描かれているので歩き回るのがとてもおもしろいです。

ローハンの平原
ローハンのイメージ © Standing Stone Games LLC

ローハンの北東部に位置するウォルド(The Wold)は、映画では、原作ですら、大部分はボートで川下りをするので大地に関する描写はほとんどありませんが、トールキンはまったく描かないわけではありませんでした。評論社から出ている『指輪物語』の地図を見ると白光川の下に「高地」と書かれていますが、ローハンの言葉(古英語)が使われたので日本語に翻訳せず「ウォルド」と表記するほうがよさそうです。1 そのためウォルドと記述します。

ローハンはゴンドールから国土を割譲して譲り受けた土地です。そこはカレナルゾンと呼ばれました。カレナルゾンとはエルフ語(シンダール語)で「緑の領域」2を意味するので、騎馬民族の乗馬の慣習に最適な、どこまでも広がる草原をイメージしてしまうのですが、ウォルドは茶色の国がアンドゥインで分断されたような、少し異なる風景だったかもしれません。

ローハンのウォルド
ローハンのウォルド(高地) 。アンドゥインが右手に見えます。 © Standing Stone Games LLC

カレン・ウィン・フォンスタッドによると、ウォルドを形成した地質は硬度が高く、そのためにアンドゥインはウォルドに差しかかると蛇行を繰り返すようになります。3 川は岸壁の斜面を削り取り、アンドゥインの両岸に断崖を作り出しました。映画では苦難のない船旅でしたが(断崖はありましたね)、原作通りにするのであれば、アラゴルンが率いる旅の仲間たちは、サルン・ゲビアではオークの待ち伏せに遭い、急流のために川から離れてボートを運ぶなど、前途多難の旅路でした。ウォルドの断崖を歩くと遠くには不穏な茶色の国が見えます。

エオセオド(ローハン人)がゴンドールの救援に駆けつけたのは、東からの襲撃があったからですが、その時の戦いに勝ってもそれで攻撃が止んだわけではなかったのですね。東夷からの襲撃を受けた際にエオルはウォルドで戦死しました。死ぬまでずっと黄色い髪と血色のよさを保っていたという記述がありますが、エオルが亡くなったのは60才とロヒアリムの平均より早かったことも理由に挙げられるでしょう。4 彼と彼の愛馬フェラロフの塚山がLOTROではウォルドに築かれています。

Eorl's Hallow
Eorl’s Hallow © Standing Stone Games LLC

ウォルドの北側を流れる白光川がローハンの国土の境界です。ケレブラント野と呼ばれる平原が広がっています。エオルが駆けつけたのはここでした。ローハンに領土を割譲したということは、以前はゴンドールの領土だったということです。LOTROの設定ですが、アンドゥインと白光川が合流するところに、ゴンドールの要塞の遺跡があります。ちょうどこのあたりがアンドゥインの渡場になっていたようなので、警護のために必要だったことが伺えます。

ケレブラント野
ケレブラント野とオスト・ケレブラント © Standing Stone Games LLC

References

  1. ^wold – Definition of wold in English by Oxford Dictionaries Post date unknown (Accessed 28 February 2019)
  2. ^J.R.R. Tolkien; Humphrey Carpenter, Christopher Tolkien (eds.), The Letters of J.R.R. Tolkien, Letter 297, (dated August 1967)
  3. ^カレン・ウィン・フォンスタッド(著) 琴屋草(訳) 『「中つ国」歴史地図』 評論社 2002年、97ページ
  4. ^J・R・R・トールキン(著) 瀬田貞二、田中明子(訳)『指輪物語 追補編』 評論社 1992年、A.王たち、統治者たちの年代記、 Ⅱ エオル王家
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