The Study of Bag End

フロド・バギンズの名前が決まるまで

フロド・バギンズの名前が決まるまで
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トールキンの『指輪物語』執筆過程の草稿は、ご子息クリストファ・トールキンが編纂し、未邦訳の『中つ国の歴史』シリーズの第六巻から第九巻までに収録されています。

これを読むとわかるように、『指輪物語』においてトールキンの執筆スタイルは書きながら物語を組み立てるといったもの。それゆえ出版に使用されなかった原稿は膨大でご自身での整理もままならないまま、原稿を売ったりしたそうです。1 それにトールキン教授が亡くなった時には70箱にも及ぶ遺稿があったそうです。2

『指輪物語』は、『ホビットの冒険』の続編を望む声に応えて執筆を開始しました。いちばんはじめ、主人公は引き続きビルボ・バギンズでした。ですが早い段階でビルボの息子として(すぐに甥として)、ビンゴが登場しました。ビンゴは子供たちのコアラのおもちゃが由来になっているようですよ。3

児童文学としての『ホビットの冒険』の続編を意識して執筆するものの、この頃トールキンの心はシルマリルへと向かいます。この本の出版の打診はしましたが残念ながらそれが受理されることはなく、トールキンは『指輪物語』の執筆に取り組みます。子供向けの物語を執筆する興味を失ってきた頃で、執筆している物語にはどんどん暗い影が差していきます。4

それゆえ、ビンゴという名前の響きは自分の新しい物語にそぐわない気がしたんですね。「ビンゴの名前に慣れすぎている」というご自身の走り書きもありましたが、のちにピピンとなるキャラクターにつけていたフロドを主人公の名前にすることにしました。フロドの名前はこういった顛末でつけられたのでした。
ちなみにそれで名前のなくなったトゥックさんは新しくフォルコ・トゥックという名前をつけてもらいました。ピピンもなかなか名前の定まらない一人でした。

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