The Study of Bag End

クリストファ・トールキン、タペストリーを鑑賞する

J・R・R・トールキンの三男、クリストファ・トールキンが “Aubusson weaves Tolkien”で制作されたタペストリー鑑賞しに、フランスのル・トロネ修道院へ訪れた2019年1月19日の動画がYoutubeに公開されました。

クリストファさんはこの時はじめてタペストリーをご覧になったそうです。映像からは、目を輝かせ、感激されている様子がよく伝わってきます。横顔を拝見した時に、父御によく似ていらっしゃるなぁとしみじみしました。

クリストファ氏が父御との思い出を語るスピーチは涙なしには見れません。トールキン教授のお人柄やご家族の様子が伝わってくるエピソードです。動画はフランス語ですが、英語字幕がついているのでそちらを参考に日本語の拙訳を添えます。

この動画の3:47からです。

I should explain that my father used to work very very late at night, for his painting and writing. And I, when I was very very very young, at night, I used to worry about my father in that way: was he still alive?
One night, when the whole house was silent, I went downstairs to find my father, and there he was. I was so relieved that, poor little idiot, I started to cry. And one of the tears, one tear, but a substantial one, fell on the painting. Imagine that!
But my father wasn’t angry at all. What he did was he got his small paintbrush, and he rubbed out every trace of the tear. And He had to change the leaves in the tree a little bit. Because the tear had fallen on the beautiful tree in the foreground. The title of the painting is Rivendell.
And in this house, Frodo said the words that are fundamental in The Lord of the Rings. He said: “I will take the Ring though I do not know the way. Thank you.

拙訳
父は、夜のとても遅い時間に絵描きと執筆の作業をしていた話をしたいと思います。わたしがとても小さかった頃、夜になると「父は生きているのかな?」と心配していました。
家中が静かになったある夜、わたしは下階に父を探しに行きました。彼はそこにいました。私は安心して、あわれで小さなまぬけ者ですが、泣き始めてしまいました。そして涙が一粒、大きい一粒が、絵の上に落ちたのです。想像してください!
父は怒りもせず小さな絵筆を取り出し、涙の跡を消し去りました。前景の美しい木の上に涙が落ちてしまったので、父は木の葉をわずかに変更しなくてはなりませんでした。その作品のタイトルは「裂け谷」です。
『指輪物語』の物語中、この家でフロドはこの言葉を言います。「私が指輪を持っていきます。道はわからないけど…」。ありがとうございました。

動画の説明文によれば、この「裂け谷」の作品のタペストリーは現在制作中とのこと。なお、ル・トロネ修道院での展示はすでに終了しているとのことです。

クリストファさんのお話にあった「裂け谷」の絵は、Tolkien Gatewayに掲載されています。涙が落ちたのは、おそらくは右側に一本大きく描かれた木ということでしょうか…。
File:J.R.R. Tolkien – Rivendell.jpg – Tolkien Gateway

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