The Study of Bag End

新しいテーマ「The Forces of the Enemy」について

ダグ・アダムス氏がファンからのサウンドトラックに関する質問に回答していました。LOTRシリーズとホビットシリーズに登場するモチーフの関連についての質問です。今後出版される予定の「The Music of the Hobbit Films」の内容に関わる部分で、この本の発売を待っている身にとってとても興味深い内容でした。拙訳を添えて内容をご紹介します。

質問と回答

Been meaning to ask you forever. What is that motif, that plays both in RotK when the hobbits see the Witch King rise over Minas Morgul, and in DoS when Sauron throws Gandalf up against the wall in Dol Guldur. What is that theme called? I looked everywhere in the book, but couldn’t seem to find it. Or am I just missing it?

拙訳

質問があります。『ロード・オブ・ザ・リング:王の帰還』において、ミナス・モルグルで魔王が立ち上がる時と、『ホビット:竜に奪われた王国』において、ドル・グルドゥアでサウロンがガンダルフを壁へ放り上げる時のモチーフ、これは何と呼ばれていますか? 本の中を探しても見つかりませんでした。見逃しているのでしょうか。

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これに対してダグ・アダムス氏は「The Forces of the Enemy」という、新しいモチーフを紹介しつつ回答しています。

It was a nonrecurring figure in LOTR, so it earned no mention in the The Music of the LOTR Films. However, it’s one of a handful of motifs — like Mithril, Bree, and a few others — that were retconned into themes in The Hobbit. So in The Music of the Hobbit Films, this theme is “The Forces of the Enemy.” In the Music of the Hobbit Films, these are tagged as “Returning” themes … with a footnote explaining that they were introduced in LOTR.

拙訳

LOTRでは一度しか使われることがなかった音型なので『The Music of the LOTR Films』では触れていません。ミスリル、ブリーなどいくつかのモチーフは、ホビットの中でテーマとして新たに設定されました。 だから『The Music of the Hobbit Films』ではこのテーマは「The Forces of Enemy」といいます。これらは「帰還」のテーマとして紐付けられていて、脚註においてLOTRで登場していたことを説明しています。

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ホビット三部作ではこのようにLOTRのモチーフと密接に紐付けられています。LOTRに登場したドワーフ関連の音楽も、おそらくLOTRから発展した音楽ではないかと思っています。

「The Forces of the Enemy」はどの音楽か

LOTRでのThe Forces of the Enemy

「王の帰還」完全収録版のサウンドトラックでは「The Coronal of Silver and Gold」 6分30秒から6分43秒までです。アダムス氏が言うにはLOTRではこの一回きりということになります。

映画のシーンで言うと、ゴラムに連れられたフロドとサムがミナス・モルグルの正門に達したタイミングで、ナズグルとオークの軍勢が出陣します。ミナス・モルグルの建物の扉が開く直前に魔王が金切り声を上げる背景で流れているモチーフが「The Forces of the Enemy」です。

ホビットでのThe Forces of the Enemy

質問者が指し示した箇所は「竜に奪われた王国」スペシャル・エディションのサウンドトラックの「A Spell of Concealment (Extended Edition)」2分24秒から2分36秒までです。他に「決戦のゆくえ」スペシャル・エディションのサウンドトラック「Guardians of the Three」の冒頭と2分14秒から2分26秒までも同じモチーフが使われています。冒頭のほうはおそらく映画では使われていないと思います。

「竜に奪われた王国」では、ドル・グルドゥアに潜入したガンダルフがサウロンに捕らえられ、壁へ打ち付けられる直前に流れるモチーフです。「決戦のゆくえ」では、同じくドル・グルドゥアでガラドリエルがガンダルフを抱え歩くその背景で、ナズグルが指輪の詩を唱え始めます。その時に流れているモチーフが「The Forces of the Enemy」です。以前「Guardians of the Three」のモチーフ解析をした時に個人的に「Mordor Untitled」と名付けたものです。

帰還のテーマとしての「The Forces of the Enemy」

ホビットでの登場箇所は他にもあるかもしれません。ここまでで見つけられた登場箇所の共通点をまとめると「The Forces of the Enemy」は明確にサウロンやナズグルが姿を現した時に使われているようです。「竜に奪われた王国」のドル・グルドゥアのシーンが初使用だとすれば、ガンダルフが潜入するまで死人占い師の正体がサウロンであることは不確かだったためと推測できます。映画『ホビット』においては、サウロン、ナズグルが生きながられていたことが明確になったところで使用されるのがこのテーマということではないかと思います。

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