注釈版「ホビット」を読んでいる

このところ、原書房から出ている注釈つきの「ホビット」を読んでいます。山本史郎さんが翻訳をされていることから私の周囲では、瀬田貞二さんの翻訳と区別して山本訳(瀬田貞二さんのほうは瀬田訳)と呼ばれることの多いものです。

以前手にとった時はずいぶん前で、おそらくファンになってそこまで経っていない頃。それも図書館で借りて読んだだけだったので、注釈を読んでいませんでした。でも読んでもちんぷんかんぷんだったと思います(^^;)。

読んでいて思うことをざっと。

山本さんの日本語の個性は、やはり私には少し読みにくいと感じます。しかし、それも個性と思って読んでいればだいぶ流せるようになってきました。

ですが今読んでいて思うことは、邦訳版はコンセプトの軸が定め切れておらず、誰に読んで欲しいのかわかりにくいということ。物語は少年少女に向けた言葉選びで翻訳されています。少年少女というのは小学生から高校生くらいと、広い年齢の人たちを指します。ですが、注釈版としての価値はその対象年齢の後半か、もっと上の人たちで、ある程度トールキンの世界に対する知識がないと有効でないように思います。

軸が定め切れなかったのは、いろいろな事情があるのかもしれません。でも、瀬田訳に馴染んでいるファンにこちらも読んでみようという気を起こさせることは、コンセプトをもっとしっかり定めらたら届いたのではないでしょうか。注釈はトールキンの物語創造のモチーフや題材の由来、ホビットの物語の改定の変遷がわかり、トールキンを何度も読んでいるファンにとっては興味深い内容です。

という次第で、引き続き山本訳を読み続けます。