グラムドリングとナルシルのこと

この記事は「トールキン #束adv Advent Calendar 2015」23日目の記事です。

先日、gwn001さんが同アドベントカレンダーに投稿された「カザドの歴史 第一紀編」を拝読して、ちょうど第一紀にテルハールが作ったナルシルの来歴を調べようと思っていたことを思い出しました。gwn001さんとお話していていただいたコメントが中つ国のロマンのひとつを物語っています。

今回はアイテムの来歴を一覧にしようとも思ったのですが、今現在、特に興味のあるナルシルとグラムドリングという二つの名剣について書いてみようと思います。

ナルシル(アンドゥリル)

ナルシルと呼ぶよりもアンドゥリルと呼んだ方がわかりやすいでしょうか。指輪物語の際にアラゴルンが所持していた剣です。

ナルシルの誕生はとても古くて、第一紀に青の山脈のノグロドのドワーフ族によって鍛えられました。この製作者はテルハールといって、他にもアングリストや龍の兜などもつくった、中つ国において優れた職人の一人に数えられる人物でしょう。

ナルシル(アンドゥリル)がどれくらい優れた短剣なのかは、製作者が同じですから前述のアングリストのスペックが参考になるかもしれません。全く同じではないだろうということは念頭においておきましょう。このアングリストという剣は、”鉄を切り裂くもの”という意味を持っています。いろいろあってベレンが手にすることになりますが、ベレンはこの短剣を使ってモルゴスの冠からシルマリルのひとつをくり貫くことに成功しました。名前の通りの剣なんですよね。

ナルシルはアングリストと違って長剣なのでこのような使い方をすることはなかったと思いますが、鋭さにおいて劣るということはなかったのではないでしょうか。gwn001さんのお言葉をお借りすると「ドワーフが作ってエルフが鍛え直した」という二つの種族の術が込められた剣をアラゴルンが振るい、人間の時代に受け継がれていくという設定に気がついた時には打ち震えました。そしてまた、ベレンとアラゴルンの二人が時を超えて同じ製作者による剣を使用したというところにも。

ちなみにTolkien Gatewayによれば、ナルシルはアングリストのもとの所有者であるフェアノールの息子のうち五男クルフィンが持っていて、マグロール、エルロス(初代ヌメノール王)へと渡っていったのではないかということです。((Narsil – Tolkien Gateway参照))

グラムドリング

グラムドリングは、トーリン一行のエレボール遠征の時にトロルの岩屋からオルクリストやつらぬき丸と一緒に発見されました。裂け谷に持ち込んでエルロンドに鑑定してもらった際に「グラムドリングつまり敵くだきという名で、ゴンドリンの王が昔さしていたものです」((「ホビットの冒険」(上)108ページ岩波少年文庫版))と教えてもらいます。そしてその後はガンダルフが所持し続けました。

ゴンドリンの王とはトゥアゴンのことですね。トゥアゴンはエルロンドにとって父方の曽祖父ですからあそこで所有権を持ち出してもおかしくないと思います。でも、欲を出さず名剣を活躍させる道を選んだのですよね。

ゴンドリンの陥落は「シルマリルの物語」に書いてありますので書くまでもないと思いますが、オークだけでなく竜やバルログの襲撃を受けます。バルログと直接対決したのは泉のエクセリオンでトゥアゴンの戦死の詳細はわかりませんが、のちにガンダルフがトゥアゴンのグラムドリングを使ってバルログを討ちとったという設定に胸の熱くなる思いです。

余談ですが、映画「ホビット」でのオルクリストはエクセリオンの所有物だったという設定だそうです((The Hobbit Swords – The Making or Orcrist / WETA参照))。


指輪戦争の際にキーアイテムとなる二つの名剣ですが、細かく設定されていてトールキンの超人ぶりを「エグレリオ!」ではないでしょうか。他のアイテムもまとめたいですが、今日のところはこれまでで。

24日目のクリスマス・イヴはmidorimirさんの「指輪物語とオシァンについて」です。これまで書かれている記事も合わせてぜひお読みになってください。このアドベントカレンダーも残りわずかですが、最後までよろしくお願いいたします。